信越化学工業は、心拍数や心電波形などの生体情報を身体に装着したまま測定・送信するウエアラブルデバイスの特性向上に資する生体ドライ電極と高伸縮性配線材料を開発した。
健康管理への意識や在宅治療の必要性が高まるなか、ウエアラブルデバイスによる生体情報を測定する機会が増えている。特に24時間以上、肌に直接装着し生体情報を取得するヘルスパッチの場合、装着者には不快感によるストレスが生じる。また、1週間に及ぶ長期の測定になると、生体信号の取得が不安定になることも想定される。
同社が開発した生体ドライ電極は、生体適合性に優れたシリコーンをベースとし、ウエアラブルデバイスで生体信号を取得する入り口の働きをする電極として開発した。主な特徴は、装着感、信号取得性能、耐水性の3点。装着感は、シリコーンは肌に馴染みかぶれにくく、厚みを髪の毛と同じくらい薄くすることで柔軟で着けていることを感じさせない。信号取得性能は、シリコーンの粘着性を最適化することで、装着者の動きに追従し、安定した心電図信号の取得を実現した。耐水性はシリコーン由来の耐水性により、従来のジェル電極では成し得なかった、装着したままでの入浴を可能となっている。
これら特長を有する生体ドライ電極を用いたヘルスパッチについては、Holst Centre社(蘭)と共同で実施した装着の評価で1週間に及ぶ連続装着でも安定した生体信号の取得を実現していることが確認されている。
一方、同社が開発した高伸縮性配線材料は、取得した生体信号を信号処理デバイスへ伝達する配線向けの材料。ヘルスパッチの配線には、装着者の動きに合わせた細やかな追従性が求められる。同社が開発した材料は伸縮テストを繰り返し行っても導電率は保たれ、長時間の装着に耐えうる強度が必要なヘルスパッチの材料として最適となっている。
なお、これらの材料を用いたヘルスパッチは、MEDICA Connected Healthcare Forum(2021年11月14日~17日、独デュッセルドルフ)でHolst Centre社により紹介されている。
2022年01月10日