デンカは1月11日、同社と持分法適用関連会社の東洋スチレンが、使用済みポリスチレン(PS)樹脂のケミカルリサイクルプラント建設(年間処理能力約3000t)を決定したと発表した。千葉工場(千葉県市原市)敷地内に使用済PS樹脂のリサイクルプラント設備を導入し、2023年度下期の稼働開始を予定している。投資金額は約38 億円を見込んでいる。
脱炭素・循環型社会構築のためには、石油資源の新規投入量を減らして廃プラスチックを再資源化することが求められる。ケミカルリサイクルはマテリアルリサイクルと異なり再利用用途に制限がなく何度でも再生できるだけでなく、ポリスチレンは他のプラスチックと比較して、ポリマーから中間化学品であるモノマーに熱分解し易いというスチレン系樹脂ならではの特長を最大限活かすことができる手法となっている。
東洋スチレンは今後、世界で初めて使用済みポリスチレンからスチレンモノマーに変換するケミカルリサイクルプラントを事業化した米国アジリックス社との技術ライセンス契約に基づき、ケミカルリサイクルプラントを建設し、ユーザーからのポストインダストリアル材の回収事業を開始する。また、SDGs未来都市である千葉県市原市が取り組む「市原発サーキュラーエコノミーの創造」において、市民・企業・行政が一体となったプラットフォームへの参加を予定している。
デンカグループはSBC樹脂やMS樹脂などの透明樹脂から、耐熱付与剤をはじめとする高機能樹脂、食品包装材料・容器まで、スチレンチェーンで繋がる様々な製品を供給しており、自動車から家電、食品まで幅広い用途で使用され人々の生活を支えている。石油化学系製品を製造する企業としての社会的責務を果たすため、スチレンチェーン全体でのケミカルリサイクル活用を目指し、脱炭素・循環型社会の早期構築に貢献していく。