日本ゼオンは1月11日、シクロオレフィンポリマー(COP)のリサイクル技術を独自に開発したと発表した。新しいリサイクル技術により、これまで課題であった透明性や高純度を維持することに成功し、バージン樹脂と同等の品質レベルまで再生可能となった。2022年10月より富山県・高岡工場内に年産能力6000tのリサイクルプラントを建設着工し、2024年8月の稼働を予定している。リサイクル樹脂はバージン樹脂に比べ、製造時のCO2発生量を約1万2000t削減することにつながる。
同社のシクロオレフィンポリマー「ZEONEX」「ZEONOR」は、優れた光学的・化学的特性を持ち、光学レンズや光学フィルムから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。また、独自開発した溶融押出法により自社加工している光学フィルムの「ZeonorFilm」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、堅調な需要が継続している。今回新たに開発したリサイクル技術は、光学フィルム製造時に排出される廃棄樹脂を再生するものとなっている。
プラスチックリサイクルは現在大きな社会課題の1つとなっているが、特に光学用途においては、要求品質に見合う技術の確立が待ち望まれていた。今回同社が開発したリサイクル技術は、透明性や純度等の品質面においてバージン樹脂と同等のレベルであることが確認されている。リサイクルした樹脂は、光学フィルムの製造に再利用される計画であり、今後も見込まれる旺盛なニーズに応えていくものとなる。
今回の技術開発ならびにリサイクルプラントの稼働は、シクロオレフィンポリマーのさらなる差別化を図れるとともに、廃棄樹脂の再利用や製造時のCO2削減といった持続可能な社会の実現に寄与する。今後も同社は、大地(ゼオ)と永遠(エオン)からなるゼオンの名にふさわしく、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々の暮らし」に貢献していくとしている。