■ 新年インタビュー
新中計の道筋を明確にする年に
日本ゼオン 田中公章社長
日本ゼオンは、21年度から新中計をスタートした。22年度は2030年のビジョンを見据えた基盤づくりと位置づける田中公章社長に現況をはじめ、21年のトピックス、新中計の進捗状況、22年の抱負など聞いた。
◆21年度上半期を振り返って。
上半期のエラストマー素材や高機能材料ともに堅調に推移した結果、増収増益だった。エラストマー素材は主原料価格の上昇にともない、単価も上昇し売上高は増加したものの、営業利益は減少した。また、コンテナ不足などの物流の影響で欧米向けを中心に出荷が遅れた。その一方で、高機能材料は出荷量の増加により売上高は伸びた。ただ、光学フィルムの試作関連費用等がかさんだため、営業利益は減少した。
◆21年のトピックスは。
21年4月にバイオマスからブタジエンを生成する新技術を理化学研究所、横浜ゴムと共同開発した。
また21年6月には、高熱伝導放熱材料(TIM)の生産をスタートし、他社製よりも優位性を示すことができた。さらに、タイでアクリルゴムの商業生産を21年8月から開始し、世界の4拠点体制となった。そして、敦賀工場で世界最大幅の大型TV用光学フィルム製造ラインの増設を21年10月に発表し、量産開始は23年10月を計画している。
◆新中計の進捗状況は。
21年度と22年度は、2030年のビジョンを見据えた基盤づくりと位置付けている。初年度では、とくに評価できる点は、従業員の教育も含めたDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みをスタートさせたことだ。また、ウェルビーイングについては、従業員の教育や人事の具体的な施策も検討し進めていることも評価したい。
一方コロナ禍で、事業の方向性が見えてきた。ひとつは医療・ライフサイエンス分野で、高機能樹脂シクロオレフィンポリマー(COP)が伸びているため、拡大していく。次に、手袋用のラテックスの需要も増加している。ただ、中国市場を中心にメーカーが増加していることも事実だ。今まで以上に競争が激化するだろう。市場変化に対応し、機敏に在庫調整が必要だと考えている。
◆今後の合成ゴムの方向性について。
特殊ゴムの差別化を徹底していくことだ。現在は、