コベストロは1月18日、JSRとの合弁会社であった日本特殊コーティング(JFC)を2022年1月14日付で完全子会社化したと発表した。
JFCは筑波に本社を置く光ファイバー用コーティングのリーディングサプライヤーで、これまでJFC株式の70%を同社が、30%をJSRが保有していた。今回、同社はJSR保有分である30%の株式を数百万ユーロで取得し、JFCを完全子会社化した。
同株式取得により、光ファイバー用コーティングという高成長市場における同社のポジションがさらに強化される。同社の塗料・接着剤事業部門の責任者であるThorsten Dreier氏は、「コベストロの塗料・接着剤事業は、光ファイバー用コーティング市場におけるポジションを確立しているが、JFCを完全子会社にすることで、より独立した事業展開が可能となった。この市場は、特に今後の5G技術の普及により、飛躍的に成長する可能性を秘めている」と述べている。
JFCの紫外線硬化型の光ファイバー用コーティング材は、主に通信業界で使用されている。現在の大きな通信需要を受けて、固定およびモバイルネットワーク事業者の回線容量の需要が急上昇している。また、大容量のデータを確実に伝送できるようにするために、高性能の光ファイバーケーブルが必要となる。さらに、5G技術の普及が進んでいることも需要増加の要因となっている。新しいモバイル通信規格の性能を十分に発揮するために、携帯電話基地局は光ファイバーケーブルを介してネットワークに接続されている。
米丸公康同社社長は、「日本は、世界の光ファイバー市場において重要な役割を担っている。JSRの長年にわたるサポートもあり、JFCは確固たるポジションを築いてきた。同社のグローバルネットワークも活用して、JFCはさらに成長していく。また、今回の株式取得は、日本市場に対するコベストロの明確なコミットメントでもある」と述べている。
なお、JFCの事業拠点に変更はなく、今後も製造は筑波工場で、研究開発は神奈川研究開発センターで続けられる。