朝日ラバーは１月21日、カップ積層型カーボンナノチューブ（ＣＳＣＮＴ）を分散したシリコーンゴムをＧＳＩクレオスと共同開発したと発表した。開発した過酷な環境でも適用可能な導電シリコーンゴムとして自動車向けに正式採用が決まり、今春から同関連業界向けに納入が開始されることになった。
同社とＧＳＩクレオスは共同で、ＧＳＩクレオスの独自開発品であるカップ積層型カーボンナノチューブ（ＣＳＣＮＴ）を、同社のシリコーンゴムに最適に分散させることで導電性を付与した上で、用途に応じた硬度のオーダーメード化に成功した。
今回開発に成功したＣＳＣＮＴ導電シリコーンゴムは、電子部品の接点として適用可能な導電領域を達成しており、自動車に用いられる導電接点として、長期にわたる評価が進められてきた。
本来、シリコーンゴムは環境対応性能が高く高結晶で強靭なカーボンナノチューブ（ＣＮＴ）との親和性は良いとされていた。ただし、ＣＮＴの難分散性により製品化が実現されていなかった。今回の開発成功により、氷点下から高温、多湿、乾燥など、様々な過酷環境にさらされる自動車部材への適用が可能となっている。
ＣＳＣＮＴは高い結晶性を有した優れたカーボンフィラー。高結晶性フィラーの充填により、シリコーンゴムの電気特性の向上だけでなく、硬度、柔軟性の最適調整を含む機械的特性、耐熱性、耐久性の向上、低比重（軽量）などが期待できる。これらの優れた特性は、シリコーンゴム部品の超長寿命化をもたらし、地球環境への負荷を軽減すると共に、柔軟性の最適化により高機能を保持したまま人体へ適用する場合の接触感の改善も可能となる。
なお、ＧＳＩクレオスは、今年１月26～28日に東京ビックサイトで開催される「ｎａｎｏ ｔｅｃｈ ２０２２ 第21回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、同導電シリコーンゴムのサンプルを展示する予定となっている。
同社とＧＳＩクレオスは、今後も同導電シリコーンゴムのマーケティングを共同で実施し、サステナブルな社会の実現に貢献する導電ゴムとして、自動車や航空機など向けセンサーやケーブル、ＩｏＴ社会に適用が期待されるウェアラブルデバイスの電極パッドなどへの用途展開を進めていくとしている。
ＣＳＣＮＴ導電シリコーンゴムを共同開発
得られた優れた性能
