三洋化成、徳島大学と開発 SAP用いたエクソソーム精製

2022年01月25日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は1月24日、徳島大学大学院医歯薬学研究部保健学域生体機能解析学分野の冨永辰也准教授、および同大学院社会産業理工学研究部理工学域、右手浩一教授らの研究グループと高吸水性樹脂(SAP)を用いてエクソソームを高精度・高収率に回収する精製法を開発したと発表した。

 徳島大学と同社は、同技術を通して疾病予防や健康寿命の延伸に貢献することを目指している。早期の社会実装を実現すべく、事業開発に向けた共創パートナー企業を募集する。

 同大の研究グループは、尿などの検体を処理する際、不純物をSAPの内部に取り込み、エクソソームをSAPの表面に吸着させることで、特異的にエクソソームを分離する方法を見出した。

 SAPは架橋構造をもつ親水性のポリマーで、自重の数百倍から千倍の水を吸収・保持して速やかに膨潤し、ゲル状になる。SAPを用いた分離法では、SAPの架橋ポリマーの網目サイズや表面吸着が分離精度に大きく影響する。同社は、1978年に世界で初めて商業生産を開始して以降、さまざまなニーズに合わせて高付加価値のSAPを開発しており、これまでにさまざまなノウハウを蓄積してきた。

 今回、同大の研究グループの基本構想・評価技術と同社のSAPの設計・製造に関するノウハウを組み合わせることで、エクソソームの回収・精製に適した精製法の確立に成功した。

 同精製法は、従来の精製法と比べて迅速、簡便で、高純度なエクソソームを比較的短時間に多量に回収・精製することができるという特長を有している。このような精製法を用いることで、高純度なエクソソームを手軽に利用できるようになり、さまざまな疾患の早期診断や治療方針の決定につながるだけでなく、創薬開発などにも革新をもたらすことが期待される。

 同社は、今回確立した精製法の実用化をパートナー企業との連携によって加速させ、疾病予防や健康寿命の延伸に貢献したいとしている。

 

高吸水性樹脂を用いたエクソソームの精製法を開発

高吸水性樹脂を用いたエクソソームの精製法を開発

 

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