カネカは1月24日、北海道の苫小牧東部産業地域(苫東地域)に医療機器の工場新設を決定した。投資金額は約100億円で2024年5月の稼働を予定している。新工場は、製造プロセスの自動化、高度化による生産性の高いスマート工場とし、世界の旺盛な需要に対応してグローバルな事業拡大を加速していく。
同社はMedical Solutions Vehicle(Medical SV)において、医療機器を国内外へ事業展開している。今回生産を予定している医療機器は、米国での適応拡大や昨年発売した新製品の投入が奏功し、着実に販売が伸びている。
血中の悪玉コレステロールを選択的に除去する「リポソーバー」は、欧米を中心に今後も堅調な需要の伸長を見通している。また新規の「レオカーナ」は、重症化した閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する新たな治療法として市場から高い評価を受けている。今後、潜在患者数が多い米国、中国などで需要の急拡大が見込まれるため、同社は今回の工場新設による供給基盤の確保により飛躍的な事業拡大を図るとしている。
同社は、広範なラインアップにより幅広いニーズに応えるMedical SV(インターベンション、血液浄化器など)と世界中の医薬品メーカーに価値あるソリューションを提供するPharma Solutions Vehicle(低分子医薬品、バイオ医薬品など)をHealth Care Solutions Unit(Health Care SU)とし、事業ポートフォリオ変革のドライバーと位置付けている。今回の北海道新工場建設を含めこの領域の事業展開をさらに飛躍させ、2030年にHealth Care SUの売上高3000億円を目指す。
新工場を建設する苫東地域は、陸・海・空路の利便性が高い物流の要衝に位置し、各種インフラが整備された日本有数の工業団地となっている。新工場には同社の太陽電池を設置し、「ゼロエネルギーファクトリー」を目指す。また、今般取得した事業用地は、Medical領域以外の事業拠点としても積極的に活用していくとしている。