旭化成は1月21日、100%子会社である韓国東西石油化学が生産するアクリロニトリル(AN)が昨年10月21日に、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を取得し、今年2月以降、バイオマスプロピレンを用いたANの生産を開始予定であることを発表した。
ANはABS樹脂やアクリルアマイド、アクリル繊維の原料として用いられるほか、各種化学品合成原料として使用されている。近年は、風力発電のブレード用途など最終製品の軽量化に貢献する炭素繊維や、衛生管理意識の高まりにより引き合いが旺盛な医療用手袋向けNBラテックスの原料として需要が増加している。
また昨今では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、化石燃料由来の製品チェーン全体のCO2削減の取り組みが活発化しており、CO2排出量が少ないANを使用した製品を製造しGHG排出量の削減に貢献したいというニーズが高まってきている。
このような状況の中、同社および東西石油化学は、AN製品のサプライチェーン全体でCO2削減を目指し、バイオマス原料を用いて生産したANの外部機関による認証取得に向けた活動を進め、昨年10月、東西石油化学はアジアのANメーカーとして初めてISCC PLUS認証を取得した。これにより東西石油化学の蔚山工場(大韓民国蔚山広域市)はバイオマス原料を使用して生産したANを、認証制度に基づいたマスバランス方式によって割り当て、販売することが可能となった。そして今年2月以降、バイオマスプロピレンを用いたANの生産を開始する運びとなった。
同社グループは、社会のカーボンニュートラル実現への貢献を目指し、自社技術に基づくAN触媒やプロセス改良とバイオマス原料調達の両面におけるCO2削減の取り組みを継続し、お客さまにとってのグローバルサステナブルパートナーとなることを目指していくとしている。