住友化学は1月25日、スーパーエンジニアリングプラスチックスの一つである液晶ポリマー(スミカスーパー、LCP)の供給体制を強化するため、愛媛工場(愛媛県新居浜市)に生産プラントを増設すると発表した。LCPは、愛媛工場および同社子会社の田岡化学工業播磨工場(兵庫県加古郡播磨町)で生産しており、増設後の生産能力はグループ全体で現行比約3割増となる。設備の完成は2023年夏を予定している。
LCPは耐熱性や流動性、寸法精度に優れるなどの特長を有し、パソコンやスマートフォンなどに使用される電子部品をはじめ、幅広い分野で用いられている。同社は、これまで顧客の要望に合わせたポリマー材料の研究開発力、樹脂からコンパウンドまでの一貫した生産・販売体制、グローバルかつきめ細やかな顧客サポートを強みとして、着実な業容拡充と安定供給基盤の構築に努めてきた。
近年、第5世代移動通信システム(5G)の本格商用化や、環境負荷低減に向けた電気自動車(EV)の普及などを背景に、LCPの需要が拡大している。同社グループは、世界的に需給が逼迫している足元の状況を速やかに改善するため、今回、プラントを増設し生産能力を引き上げることとした。また、データ通信の高速化や大容量化、モビリティ分野の発展に伴い、LCP市場は今後も急速な拡大が見込まれるため、さらなる生産能力増強を検討していく。
同社は、経営として取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つに「ICTの技術革新への貢献」を掲げている。今後も安定的かつ機動的な市場への製品供給、品質・技術ニーズの高度化に対応した開発グレードの提供などにより、Society5・0に代表されるスマート社会やモビリティ分野の発展に貢献していくとしている。