GSIクレオスは1月19日、同社が出資するブリリアント・マターズ(BM社)製の高分子材料がリコーのフレキシブル環境発電デバイス(有機太陽電池・Organic Photo Voltaic、「OPV」)の材料として採用されたと発表した。BM社はカナダのスタートアップ企業。同社は昨年6月にBM社に出資するとともに、BM社の高分子材料および低分子化合物の普及に注力してきた。
BM社は、有力な次世代再生エネルギーである有機太陽電池(OPV)をはじめとする有機エレクトロクニクス(OEL)分野向けに、最適な最先端の導体、半導体高分子の研究・開発、製造を⾏っている企業として知られる。BM社の特許技術である高分子合成技術DHAP法は、現在、最も汎用的な高分子合成方法
であるStille重合法とは異なり、毒性のある金属前駆体を用いず、有機金属種の調整や精製が不要な手法であり、環境負荷の少ない「極めてグリーンな合成法」として既に高い評価を得ている。
リコーは、環境負荷の少ないBM社合成法とその高分子材料にいち早く着⽬し、⻑期にわたる評価試験を実施した。その結果、BM社は安定して所定の性能が得られたとして、リコーは自社OPVへの採用を決定した。リコー製OPVは、従来のOPV製品に比べ、低照度での発電や優れた耐久性などの特⻑を有しており、現在、リコーは産業分野を中心にサンプルの供給を実施している。
OPVは、IoT社会においてユビキタスである各種センサーへの給電体など、従来のシリコン型太陽電池とはまったく異なる分野に広く使用されるフレキシブルな太陽電池となっている。同社は、今後もBM社との協業体制を強化し、様々な高分子材料、低分子化合物を、国内外の有力顧客に提案し、OELデバイスの社会実装を強力に推進することで、地球環境負荷の低減に貢献していくとしている。
同社は、1月26~28日に東京ビックサイトで開催される「nano tech 2022 第21回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、同リコー製OPVのサンプルを展示する予定となっている。