高分子量PLA量産化実現へ ハイケム、リコーと共同開発

2022年01月28日

ゴムタイムス社

 ハイケムは1月24日、リコーと脱炭素社会の実現やマイクロプラスチックによる環境汚染低減といった社会課題解決への貢献を目指し、生分解性バイオマスプラスチックの高分子量PLAを、超臨界二酸化炭素を用いて量産化するための開発を共同で行うことに合意し、基本合意書を2021年11月25日に締結したと発表した。

 PLAはトウモロコシなどに含まれるデンプンを原料とした植物由来のプラスチック素材。焼却しても大気中の二酸化炭素を増加させない(カーボンニュートラル)ため、化石由来のプラスチックよりも環境負荷が低くなる。また、一定の環境下で水と二酸化炭素に分解する(生分解性)ため、マイクロプラスチック化しても自然環境下で分解し、環境汚染の低減が期待できる。一方で、化石由来のプラスチックと比べると分子量が低く、化学構造が単純なため、強度や耐熱性が低いことが問題になっている。リコーは、これまで培ってきた超臨界二酸化炭素を用いた可塑化重合法で、高分子量PLAを製造する技術を保有している。

 今回の共同開発の目的として、リコーが保有する重合技術を検証し、高分子量PLAを試作することで、より付加価値の高い製品を世の中に提供していくことを挙げている。将来的には、高分子量PLAの量産化実現を目指していく。この共同開発を実現させることで、リコーの開発した発泡PLAシート「PLAiR(プレアー)」の品質向上や、同社が開発したPLA繊維「Highlact(ハイラクト)」の品質向上、工業用品などに用いられる耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックなどへの用途開発を図っていく。さらに同社は、この高分子量化の技術を他の生分解性樹脂へも展開していきたいとしている。なお、同プロジェクトは、同社東京研究所(千葉県柏市)と、リコーの沼津事業所(静岡県沼津市)およびリコーテクノロジーセンター(神奈川県海老名市)にて実施する予定となっている。

 同社は、リコーがこれまで培ってきた技術力と、同社の日中の架け橋としての実績を掛け合わせることにより、社会課題の解決につながる新しいPLA製品をより多くの人々に提供できる未来を実現していくとしている。

 

高分子量PLA量産化の共同開発を開始

高分子量PLA量産化の共同開発を開始

植物と空気からできた新素材「PLAiR」

植物と空気からできた新素材「PLAiR」

「ハイラクト」生地

「ハイラクト」生地

 

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