市況上昇で大幅増益に 原料11社のゴム関連部門

2022年03月04日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカーの22年3月期第3四半期決算(クラレは21年12月期決算)から、合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。半導体部品の不足による自動車減産の影響はあったものの、需要回復に加え、原料価格の上昇、交易条件の改善も寄与し、各社の売上・利益は前年同期から大幅に増加した。
 ◆JSR
 エラストマー事業は、売上収益が1348億円で同44・8%増、コア営業利益(相当)は101億円(前年同期127億円の損失)の増収増益となった。顧客市場のタイヤの回復やSSBRが伸長し販売数量が伸びた。また、コア営業利益(相当)は販売数量効果に加え、スプレッドの改善やコスト削減で増加した。
 ◆日本ゼオン
 エラストマー素材事業の売上高が1479億2600万円で前期比29・3%増、営業利益は159億3000万円で同199・6%増となった。合成ゴム関連では、自動車減産の状況下でも需要は依然として堅調に推移し、国内・輸出・海外子会社とも販売は好調に推移し、売上高、営業利益ともに前年同期間を大幅に上回った。合成ラテックス関連は、医療・衛生用手袋向けの需要拡大に加え、樹脂改質用途が堅調に推移した。
 ◆三井化学
 エラストマーや機能性コンパウンドなど含まれるモビリティの売上高は2969億4600万円で同34・5%増、コア営業利益は359億2400万円で同84・6%増。部材不足に伴う車生産の影響はあったが、コロナ影響を受けた前年度上期の水準から大きく回復した。
 ◆住友化学
 石油化学の売上収益は6250億円で同53・0%増、コア営業利益は520億円(前年同期は279億円の損失)。石油化学品や合成樹脂などは需要の回復や原料価格の上昇などを背景に市況が上昇し、また交易条件も改善した。
 ◆旭化成
 マテリアルの売上高は8824億円で同25・1%増、営業利益は917億円で同114・4%増。自動車関連市場の回復に伴うエンジニアリング樹脂などの販売数量増や半導体市況の活況を背景とした電子材材料製品の販売数量増を要因に、売上は増加した。
 ◆宇部興産
 合成ゴム事業のBR(ブタジエンゴム)はタイヤ用途を中心に出荷が堅調に推移したことやブタジエン市況の上昇などにより製品価格が上昇し増収増益となった。
 ◆デンカ
 クロロプレンゴムの販売は、世界経済回復とともに産業用途などの関連産業向けの需要が増加に転じ前年を上回ったが、米国の子会社はハリケーン「アイダ」によるサプライチェーンの混乱で生産停止など影響を受けた。
 ◆東ソー
 クロロプレンゴムは需要回復に伴いアジア向けを中心に輸出が増加した。ポリエチレン樹脂は、需要の回復に伴い国内輸出ともに出荷が増加した。また、ナフサ価格及び海外市況の上昇を反映して製品価格が上昇した。
 ◆クラレ
 イソプレンの売上高は619億4000万円で同22・9%増、営業利益は56億9400万円で同49・5%増。ファインケミカル、熱可塑性エラストマー「セプトン」ともに需要回復により販売量は増加した。
 ◆信越化学工業
 シリコーンが含まれる機能材料事業の売上高は2891億円で同25・7%増、営業利益は683億円で同32・7%増。主原料の金属珪素の急激な価格高騰や世界的な物流の混乱で調達や出荷に影響を受けたが、製品価格の修正を行いつつ販売増を図り増収増益となった。
 ◆ダイキン工業
 フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復により売上高は前年同期を大きく上回った。フッ素ゴムは自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、拡販施策の展開と同時に価格政策を実施し売上高は前年同期を大きく上回った。

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