SABICは2月15日、中国最大級のトラック製造企業である東風汽車と共同でトラック搭載用ツールボックスの製造に向けてプラスチック複合材を用いたハイブリッドソリューションを開発したと発表した。
同ツールボックスには、同社のガラス長繊維強化ポリプロピレン(PP)であるSTAMAX樹脂と、連続ガラス繊維複合材のラミネートとを組み合わせたハイブリッドソリューションが利用されている。この技術によって製造された部品は、同様に設計された鋼製部品と比べ、最大30%の軽量化が実現でき、さらに、東風汽車はこのソリューションを採用することで、生産効率の向上も達成している。
STAMAX樹脂を用いた同ハイブリッドソリューションは、トラックのツールボックスだけでなく、テールゲート、座席、フロントエンドモジュール、電気自動車用バッテリーハウジングなど、さまざまな自動車用途に適用の可能性がある。同社は、このプラスチック複合材ソリューションについて、軽量化だけでなく、CO2排出量の削減、生産効率向上によるコスト低減、さらなる高性能化を実現できるとしている。
同社のハイブリッドソリューションは、STAMAX樹脂と、連続ガラス繊維強化熱可塑性複合材の開発と製造を専門とする中国・奇一科技(Qiyi Tech)社の一方向性(UD)ガラス繊維強化PPテープを原料とした熱成形複合材インサートが組み合わせられている。
このラミネートインサートは、金型内に配置する前に予熱され、1回の加工作業でSTAMAX樹脂と一体成型される。このインサートによって、部品の重要部分に剛性と強度が与えられることで薄肉成形が可能となり、重量軽減を図ることができる。
同社のプラスチック複合材ハイブリッドソリューションを使用することで、これまでトラック用ツールボックス素材に使用されてきた鋼と比較して、設計の選択肢が広がるとともに、部品統合が可能となる上、コスト増と大量生産の障壁となっていた二次加工が不要となる。