【新社長インタビュー】村岡ゴム工業 村岡良亮社長

2022年02月21日

ゴムタイムス社

■ 新社長インタビュー

高い生産技術と高品質の強み活かす

村岡ゴム工業 村岡良亮社長


 再生ゴム業界でトップシェアを誇る村岡ゴム工業は昨年12月の株主総会及び取締役会で、村岡良亮代表取締役副社長が社長に就任した。村岡新社長に就任の抱負をはじめ、再生ゴム市場の現状、今後の方向性などを尋ねた。

■就任の抱負について。
 当社の経営理念のひとつに、「社会貢献企業をつくる」という目標がある。世界全体がSDGsやサステナブルな取り組みを行っているなか、当社の事業そのものがSDGsやサステナブルの一環を担っていると自負している。これまでも再生ゴムはゴム業界にとって資源循環の選択肢の一つであったが、昨今の環境問題への取り組みが加速したことにより、当社の再生ゴムへの問い合わせは格段に増加している。今後はタイヤリサイクルの在り方や方法も変化し多様化していくことを念頭に入れつつ、これまで以上に社会やユーザー様が抱える課題に真摯に向き合いご期待に応えていきたい。それが国内再生ゴム業界のトップシェアを誇る当社の使命であると考えている。

■村岡ゴム工業の強みは。
 100年以上にわたって築き上げてきた高い生産技術と高品質が強み。また納入先工場のご要望に合わせた納入形態の自由度が高いこともご評価いただいている。再生ゴムは多種多様な用済みタイヤを再生化するにあたり、品質にバラつきが出てしまうのが一般的だ。しかし当社はあらゆるシチュエーションに応じた再生油剤の調整など製品物性のバラつきを抑える技術に加え、国内最大の生産能力と自動化された生産設備による一貫生産を武器に、ユーザー様に安心してご利用いただける高品質で安定性に優れた再生ゴムを強みとしている。また当社の生産能力は今回のコロナ禍によって供給が止まった輸入再生ゴムのバックアップ対応においてもその供給力の高さを示した結果となった。

■課題を挙げるとしては。
 新製品の開発、老朽設備の更新、世代交代が中期計画の重要課題と考えている。当社の新製品である高張力再生ゴムは、ユーザー様から一定のご評価を得ているが、改善すべき点はまだ残されている。再生ゴムの可能性を更に広げていくために開発人員を強化し、物性低下を起こしにくい再生ゴムをテーマに今後も開発を進めていく。2つ目は、設備の老朽化対策。当社の干潟工場は竣工して25年が経過しているため、設備更新のひとつのサイクルに差し掛かっている。より生産性と品質を向上してくためにも自社の成長スピードに合わせた設備の更新を計画的に行っていく。
 3つ目は世代交代。当社の持続的な成長のためにも技術を継承し、組織の世代交代を図ることは重要な課題であると認識している。今後は若手がより経営的な視点を持って活躍できる場を広げ、人材育成に注力し、世代交代を促進していきたい。

■再生ゴム市場の現状は。
 再生ゴムの市場はここ10年、変動してない状況だ。当社の売上だけを見ても、増減10%程度の狭いレンジの中で上下しており大きな動きが生じていない。日本は国外の先進国と比べ廃タイヤのマテリアルリサイクルの比率が著しく低いのが現状であるが、その背景として、ユーザー様は再生ゴムを使うことの意義を認識している一方、再生ゴムのデメリットである物性低下がネックの一つになっていると考えている。
 今後は再生ゴムを使う上で障害となりうるファクターを当社の技術力で解消していき、ユーザー様がより使いやすい再生ゴムを提供することで、用済みタイヤのリサイクル率の向上に寄与していきたい。
 
■座右の銘を挙げるとすれば。
 武者小路実篤に「人見るもよし、人見ざるもよし、我は咲くなり」という言葉がある。この言葉は、周りに左右されず、自分なりに自分らしい花を咲かるという意味だが、私たちの事業に共感する部分がある。再生ゴムはニッチな業界であり、一般消費者にはなかなか馴染みが無く、素通りされてしまいがちだ。しかし、その中でも自分たちが果たすべき使命に精一杯取り組み、いつか自分たちらしい花を咲かせていきたいと思っている。

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