帝人、炭素繊維織物を新開発 産業用やスポーツ用に販売

2022年02月18日

ゴムタイムス社

 帝人は2月17日、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現した炭素繊維織物を開発したと発表した。今後、産業用途やスポーツ用途に向けて販売を開始する。

 軽量性と強度に優れる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空機用途、産業用途、スポーツ用途などにおいてパフォーマンスの向上を目的に幅広く採用されている。そうした中、機械的特性のさらなる向上が求められており、そのため、強度の安定化が必要となっている。CFRPの強度は、強化材として用いる炭素繊維織物に平滑性を持たせることにより、炭素繊維にかかる応力の集中を緩和させることで安定化させることができ、織物に平滑性を持たせるには、使用する糸をより細いものへと切り替えるのが一般的となっている。しかし、炭素繊維は細い糸ほど高い製造技術が求められるため、より細い糸への切り替えがコスト上昇となってしまうという問題があった。こうした中、同社は独自の開繊技術を用いることにより、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現する炭素繊維織物の開発に成功した。

 同社の開発した新規炭素繊維織物は、3Kの糸で構成される炭素繊維織物(CFRPにした際の成形厚が約0・2mm)を、独自の開繊技術により、1Kの糸で構成される織物と同じ厚さ(同約0・15mm)にまで薄肉化した炭素繊維織物となっている。同社は、開繊技術を用いることで炭素繊維織物を構成する糸の起伏を小さくし、織物表面の平滑性の向上を実現させた。同製品の平滑性は、1Kの糸で構成される炭素繊維織物よりも高く、それによりCFRPにした際の強度の安定性が高まった。

 また、同製品に用いた独自の開繊技術は生産効率が高いため、従来の開繊技術に比べて低コスト化を実現し、さらに1Kの糸を用いた炭素繊維織物と比較してもコストを抑えることができる。加えて、同製品は薄肉化しているため、3Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(200g/㎡)を約35%軽量化し、1Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(125g/㎡)と同程度とした。

 同社は、すでに展開している各種炭素繊維開繊織物と合わせ、2030年度に20億円の売上を目指すとしている。

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