帝人は2月24日、リサイクル炭素繊維の商業化に向けて、富士加飾と業務提携することで合意したと発表した。
軽量で高強度の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空機用途や産業用途、スポーツ用途などで幅広く採用されており、燃費向上などを目的として今後も需要の高まりが予測されているが、使用済みのCFRPは埋立や焼却処分されることが多く、環境負荷が大きいことから、炭素繊維を再利用するための技術確立が急務となっている。
富士加飾は、使用済みCFRPから母材となるプラスチックを取り除き、高品質な炭素繊維を取り出すことができる精密熱分解法という独自の特許技術を保有している。この技術はCO2排出量が少ないのが特徴で、新しい原料から炭素繊維を生産する場合に比べて、CO2排出量を10分の1程度に抑えることができる。こうした中で同社は、環境省の補助事業のもとで商業プラントの稼働を開始しており、さらなるビジネス拡大に向けて用途開発の加速を検討していた。
一方、帝人グループは、自社のCO2排出量を2030年度までに2018年度対比で30%削減し、2050年度までに実質ゼロにすることを目標に掲げている。その達成に向けて、エネルギー消費量の削減やリサイクル技術の開発などに取り組んでおり、炭素繊維分野においても、リサイクル技術の活用によるCO2排出量の低減を目標に開発を進めていた。
今回の業務提携は、こうした両社の取り組みやニーズが合致したことから合意に至った。今後、両社は温室効果ガス排出量の削減に向けて、リサイクル炭素
繊維を使用した製品の生産・供給体制を早期に構築し、商業化に向けた取り組みを積極的に推進していく。
同社は、今回の業務提携を契機として、持続可能な循環型社会の実現に向けた事業戦略をさらに強化し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となること、およびSDGsの目標達成に向けて邁進していくとしている。