日本ゼオンは2月25日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築プロジェクト/次世代グリーンデータセンター技術開発」に対して「光に適合したチップ等の高性能化・省エネ化不揮発メモリ開発」を提案し、採択されたと発表した。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して経済産業省が設置した制度で、同目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する。
現在、世界のデータ量は年間約30%のペースで急増しており、それに伴いデータセンターサーバの市場規模は拡大の一途を辿っている。今後、大規模データセンターの急増により、データセンター全体の電力消費量も増加に転じることが予想され、これまでの技術進化では、電力消費量の増加に追いつかないと予想されている。また、電力消費量の削減が社会課題となる中で、常に給電が必要な揮発メモリ(=DRAM)の代替として、給電を停止しても記憶内容が失われない不揮発メモリが注目されているが、DRAMに匹敵する高速動作特性の克服が課題となっていた。
同事業では、同社が有するカーボンナノチューブ(CNT)の関連技術を活用し、低消費電力化、大容量化やコストの面でDRAM代替が可能な「CNTを用いた不揮発メモリ(=NRAM)」を実用化するための技術を確立し、2030年代にNRAMを社会実装することを目指す。
同社は、産業のカーボンニュートラル化、および持続可能な社会の実現へ貢献していくとしている。