宇部興産は2月28日、塩野義製薬と同社が、新規抗respiratory syncytial(RS)ウイルス薬候補(開発番号S―337395)について、共同開発契約を締結したと発表した。
RSウイルスによる呼吸器感染症は、2歳までにほぼ100%の人が少なくとも1度は罹患し、生涯にわたり感染を繰り返すとされる。RSウイルス感染症は乳幼児期においては重要な疾患となっており、特に生後数週間~数ヶ月間の時期においては、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こす恐れがある。RSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬は存在せず、アンメット・メディカルニーズが非常に高い疾患の1つとされている。
両社は2018年12月に共同研究契約を締結し、感染症を重点疾患領域とする塩野義製薬の創薬力と同社の有機合成力を融合して、RSウイルスに有効な低分子化合物の創製を進めてきた。非臨床の探索的な評価結果から、安全性と有効性が期待される同化合物を見出したことから、今回、共同開発契約を締結した。なお、同化合物は2023年度中の臨床試験開始を目指している。
今回の契約締結により、両社は引き続きそれぞれの強みを活かして同化合物の開発を加速し、一日も早く患者に届けられるよう努めていくとしている。