トマト由来酵素の構造解明 住友ゴムらの共同研究

2022年03月07日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は3月3日、東北大学高橋征司准教授、金沢大学山下哲准教授、理化学研究所放射光科学研究センター山本雅貴グループディレクター、竹下浩平研究員らと共同で、天然ゴムを合成する酵素と類似した構造を持つトマト由来の酵素「Cis型プレニルトランスフェラーゼ(NDPS1)」の構造解明と、機能改変に成功したと発表した。この研究は、大型放射光施設「SPring―8」を活用している。

 なお、同研究成果は、2022年2月8日付で生命科学分野の国際誌である「The FEBS Journal」に掲載されている。

 「NDPS1」は、Cis型プレニルトランスフェラーゼファミリーに属する酵素であり、このファミリーには天然ゴム合成酵素も含まれており構造が類似していると推察される。「NDPS1」は、パラゴムノキの天然ゴム合成酵素よりも構造解析に適した性質を有することから、同研究グループは「SPring―8」を活用して研究を進めてきた。今回、「NDPS1」の構造を解明し、生成物の長さに関わる重要部位を明らかにするとともに、この重要部位に変異導入を行うことで、生成物の高分子化と大幅な反応性の増強に成功した。この結果、自然界には存在しない化合物の生合成も可能となる。

 今回の構造解明により、天然ゴム生合成機構のさらなる解明と、それによる天然ゴムの安定供給に関わる技術開発の進展が期待される。

「NDPS1」のリボンモデル

「NDPS1」のリボンモデル

NDPS1変異体の構造モデルと特性の比較

NDPS1変異体の構造モデルと特性の比較

 

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