三洋化成工業や東京大学大学院工学系研究科、本田技術研究所、凸版印刷は「装身型生化学ラボシステム社会連携講座」を東京大学内に開設し、身体に装着し、汗などの生体試料から主にストレスや疲労などに関わる生化学情報を身体への負担が少なくかつ連続的にセンシングする「装身型生化学ラボシステム」の開発及びその実証技術の研究に着手している。
同講座は、業種の異なる3社と東京大学のバイオエンジニアリング専攻で、ヒトとデバイス・マテリアル、さらに機械をつなぐバイオインターフェース技術、デバイスおよびシステム設計技術を構築し、さらには、開発する装身型生化学ラボシステムを用いた「先進ヘルスケアシステム」の実証技術を構築する。これによって、将来的には自動車や建機など移動・輸送機械の運転時の安全性や快適性の向上、健康・医療・介護機器などでの活用による人々の一層の健康増進に貢献することを目指す。
また、同講座は、装身型の生化学ラボシステムを用いた先進ヘルスケアシステムのあり方の議論を、医工学連携教育として実施することで、未来の医療を担う人材育成を行っていく。
「先進ヘルスケアシステム」とは、年々盛んになりつつある、体温・脈拍・心電などのバイタル情報を用いて体調管理や健康維持に活用するヘルスケアを更に発展させ、安心・安全・快適性を向上させたウエアラブルセンシングデバイスかつ、さらにそれらの情報をIoTやAI技術と複合・高度化し、取り巻く環境や機器と連動させた次世代のヘルスケアシステムのことをさす。
同講座で同社は、「超軽量・小型で身体に負担なく装着しながら、汗や間質液等の体液から生体情報を取得するためのデバイスと肌との界面(バイオインターフェース)制御技術に関する開発」「体調管理や疾病の早期発見につなげるセンサー・デバイスに関する開発」「装着時の快適性を高める被覆材料などに関する開発」の共同開発に携わっていく。
同社は同講座を通じて、疾病予防や健康寿命の延伸につながる新しいヘルスケア医療の実現に貢献できるよう尽力していくとしている。