日本ゴム協会ゴム技術フォーラム主催の第34回公開フォーラム「特殊ゴム・エラストマーの未来展開」が3月24日にオンラインで開催された。開会の挨拶でゴム技術フォーラムの平田靖代表は「未だにコロナ禍の状況が続き、オンラインのみの開催となった。一方、こうしたオンラインによる会議が増えたことはどの場所でも参加できるというメリットもある」とし、「技術フォーラムを通じ、正しく情報を理解して仕事に生かし、ひいては社会に貢献してほしい」と締めくくった。
同フォーラムでは、WGによる調査委員会報告の前に、日産自動車テクニカルセンター材料技術部主管の小松基氏が「脱炭素社会とEV化の動向とゴムなどの高分子材料への影響」と題する基調講演を行った。現在、高分子材料グループの主幹として高分子材料や環境材料を担当する小松氏は、世界的な温暖化ガス削減の動きや自動車業界で加速するEV化を踏まえ、材料製造のCO2低減技術開発や部品製造のCO2低減技術適用などを解説。また、車両軽量化の方策では、材料使用量の低減や低比重材への置換、ダウンサイジングなどが必要になる。低比重材への置換では内外装部品は発泡ポリプロピレンの採用、ダウンサイジングは車両全体低減によるシャーシ部品の小型化が起きていると説明した。
基調講演終了後、調査委員会委員長の竹村泰彦氏が「特殊ゴム・エラストマーの未来展開」の総合報告を行った。竹村氏は今後の活動として「中国を始め新興国の伸長は著しい。我が国のゴム産業を守り、発展させるにはゴム・エラストマー技術を比肩なきレベルに高めることが必要だ」と力説し、今回の調査研究内容は約1年かけて成書にまとめあげ、来年の公開フォーラムで発表する。 各論報告では、WG1調査委員会からリーダーの神戸祐哉氏(デンカ)が「NBR&NV&NE、HNBR、ACM&AEM」、WG2調査委員会からリーダーの石川哲也氏(ブリヂストン)が「CR、CSM、CM、CO、FKM」、WG3調査委員会からリーダーの逸見祐介氏(三ツ星ベルト)が「EPDM&EPM、ノルボルネンゴム、エポキシ化NR、ウレタンゴム」、WG4調査委員会からリーダーの前田哲生氏(日本ケミコン)が「シリコーンゴム、フォスファゼンゴム、多硫化ゴム」、WG5調査委員会からはリーダーの篠塚翼氏(住友理工)が「全てのTPE」に関する調査報告を発表した。
2022年03月28日