日本ゼオンは3月28日、量子コンピュータ用ソフトウェア開発を手掛けるQunaSys社と業務提携契約を締結したと発表した。同時に資本連携を目的に株式投資契約を締結し、第三者割当増資を引き受け、QunaSys社に出資する。
両提携を通じて同社は、機械学習・自動実験・量子コンピュータ等の先進技術をいち早く材料開発に役立てることができる先進的なデータマネジメントプラットフォームを構築し、既存・新規事業の研究開発を加速化していく。さらに、化学業界にとってこれまでにないビジネスモデルを築くことを目指す。
量子コンピュータは、既存のコンピュータとは異なる原理で動作し、現在スーパーコンピュータでは解決できない複雑な問題を高速に解決できる可能性がある。特に材料シミュレーションにおいては最も早く実益がもたらされる可能性が高いと言われており、例えば、高精度な電子状態計算が求められる光反応性材料や触媒材料設計等への応用が期待されている。
一方、量子コンピュータのもたらす価値を最大限享受するためには、実験データや計算データを適切な形で蓄積した上で、機械学習等の高度な解析手法を適用し、材料設計に対して高速なフィードバックを可能とするような、先進的なデータマネジメントプラットフォームの構築が不可欠とも言われている。
今回の資本業務提携によって、同社が保有する材料開発の基盤や知見と、QunaSys社が得意とする先進デジタル技術の知見を融合させ、カーボンニュートラル等の大潮流から生まれる新たな材料ニーズに応え、社会課題解決を目指していく。また、将来的には、両社が共同で創出したデータマネジメントプラットフォームの外販や知的財産の活用にも取り組んでいく。
同社は、これからも独創的な技術・製品・サービスの提供を通じ、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々の暮らし」に貢献するべく、自社内に留まることなく、研究開発の効率向上およびビジネスモデル変革を牽引し、化学業界の更なる発展に貢献していくとしている。