帝人Fが開発 高い補強効果 PETナノファイバー短繊維

2022年04月12日

ゴムタイムス社

 帝人フロンティアは4月11日、タイヤ、ホース、ベルトなどに使用される従来のゴム補強材よりも補強性能に優れ、環境負荷低減に貢献するゴム補強用ポリエステルナノファイバー短繊維を開発したと発表した。

 同社は、ゴム補強用短繊維の断面をポリエステルナノファイバーとポリエチレンの2種類のポリマーを配した海島複合断面とすることで、少量の添加であっても従来品と同等以上の補強効果を発現し、かつ環境負荷低減を実現するゴム補強用のポリエステルナノファイバー短繊維を開発した。

 開発した製品は、「島」部分に高い補強効果を発揮する直径400nmまたは700nmのポリエステルナノファイバーを配置し、「海」部分にはゴムと混ざりやすいポリエチレンを配置している。ポリエチレンがゴムと分子レベルで混合するため、数千倍の本数のナノファイバーがゴムの中で均一に分散する。そのため、従来品に比べて少量で同等以上の補強効果を発現する。

 開発品の繊維の長さは1mm以下と非常に短いが、直径が非常に小さいことからアスペクト比が高くなり、補強効果は大きくなる。また、繊維の長さが短いことから絡みやもつれが無く、ゴムと繊維が均一に分散した複合体を形成することができる。これにより、繊維が連続相となり、ゴム部分ではなく繊維に応力がかかりやすくなることから優れた補強効果を発現し、さらにはゴム製品の高い耐久性を実現する。

 従来品と比較して高い補強効果を発現することから、繊維の強度を高める高分子化工程を削減することができる。また、繊維の長さを短くしたことから、繊維が綿状になることを防ぐ表面処理も不要となる。これらの製造プロセスの削減によって環境負荷低減や温室効果ガスの削減に貢献することができる。

 タイヤの用途においては、高弾性化と転がり抵抗の低減に寄与するため、燃費向上や騒音低減の効果が期待できる。また、ホースやベルト用途においては、従来困難であった高弾性率と優れた耐久性の両立が可能となる。

 

海島複合断面

海島複合断面

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