住友化学は4月11日、環境に配慮したエタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を、千葉県市原市にある同社千葉工場に新設したと発表した。同社は循環型社会に対応したポリオレフィンの事業化に向けた技術検証に取り組むとともに、サンプル提供などを通じて市場開拓を行い、サーキュラーエコノミーの確立を目指す。
ポリオレフィンなどのプラスチックは、人々の日常を支えるエッセンシャルな素材として、自動車や航空機、電子機器、各種包装材料などさまざまな用途に利用されている。一方、化石資源を原料としたプラスチック製品については、製造から使用後の処理までの過程で排出される温室効果ガス(GHG)の削減やその再資源化が、世界的に喫緊の課題となっている。
同社千葉工場に新設した試験製造設備では、サーキュラーエコノミーの取り組みで協力している積水化学工業が生産する「ごみ」資源由来のエタノールや、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから作られるバイオエタノールを原料にエチレンを生産する。同社は、長年にわたり培ってきた研究開発や工業化技術のノウハウを生かし、環境に配慮したエタノールを原料にエチレンを生産する技術の実証と量産化の検討を行い、従来と同等の品質を持つポリオレフィンの製造に取り組み、2025年度の事業化を目指す。
同社は、当該ポリオレフィン製品について、環境に配慮した持続可能な製品としての上市に向けて、独自のCarbon Foot Print(CFP)の算出システムを活用して、ライフサイクルアセスメント(LCA)によるGHG排出量削減効果の見える化を行うとともに、マスバランス方式を適用し、原料から製品へと連なるサプライチェーン全体でISCC PLUS認証の取得に取り組む。また、このような技術や製品についての情報提供やマーケティング活動を幅広く行うためのウェブサイトを開設するほか、社会からの認知や製品価値を高めるため、同社が昨年立ち上げた独自ブランド「Meguri」として販売することも検討するとしている。