ダウは4月11日、ハンザティック・エネルギー・ハブ(HEH)の少数株主となる正式契約を締結したことを発表した。これによりダウは、輸入ターミナルの建設を通じて、HEHの現在のメンバーと共にドイツにおける液化天然ガス(LNG)、バイオ液化天然ガス、合成天然ガスの輸入能力の向上に取り組むことになる。現在、ダウ、フラクシス、パートナーズグループ、バスグループ社を含むHEHコンソーシアムは、ドイツにおけるダウのシュターデ工業団地に液化ガスの輸入ターミナルを建設、所有、運営することを計画している。この二酸化炭素排出量ゼロのターミナルは、2026年までに建設予定で、シュターデのダウの施設に併設される予定だ。ダウは、ターミナル建設用地のほか、インフラサービス、オフガス熱、サイトサービス、相互港湾使用権などを提供する。
年間133億立方メートルの天然ガスの再ガス化能力を持つこの輸入ターミナルは、ドイツの現在の天然ガス需要の最大15パーセントを満たすことにより、欧州のエネルギー安全保障に関する欧州委員会と米国による共同声明を支援するねらいだ。また、この合意により、米国は2030年までに欧州に年間500億立方メートルの天然ガスを輸出するという目標の約25パーセントを達成することが可能になる。さらに、このターミナルは、ダウの敷地内のオフガス熱を再利用し、二酸化炭素を排出せず液化ガスを気体に戻す再ガス化を行う予定だ。
ダウ欧州、中東、アフリカ、インド担当社長ニール・カーは、「ドイツでのLNG輸入基地の建設に向けたこの協力体制は、安定的で費用対効果の高い持続可能なエネルギーを、欧州へ供給することを可能にする大きな一歩となる。ダウにとっては、欧州全域のダウの顧客にサービスを提供するために重要な拠点であるシュターデの競争力を高めると同時に、ドイツの2045年の気候目標を支えるエネルギー供給の変革に大きく貢献することになる」と語った。
ドイツでは、原子力発電や石炭火力発電の廃止が進む一方、再生可能エネルギーが十分に利用できるようになるまでの移行燃料として、天然ガスへの依存度が高まることが予想されている。現在、ドイツは天然ガスの約半分をロシアからパイプラインで輸入しており、LNGの再ガス化、輸入施設を保有してない。プロジェクトは、2023年までに投資が最終決定する予定だ。