昭和電工は4月21日、人工知能(AI)を用いた材料開発において、機械学習モデルを効率的に運用する仕組み、MLOps(機械学習オペレーション)を他社に先行して構築し、活用を開始したと発表した。機械学習モデルにより、材料の配合や製法などから材料特性の予測が可能で、今回、この機械学習モデルを開発するコンピュータへの最新データの入力とデータ加工について自動化などを行った。
これにより同社は、機械学習モデルの開発からシステムの運用までの一連の流れに要する時間を、従来の1ヶ月当たり5日から1日に短縮することが可能となり、また常に最新のデータを基に材料の特性予測を行えることで、材料開発の迅速化を実現した。
同社は材料の配合探索などにおいて、機械学習モデルを用いて材料特性の予測や最適な特性を持つ材料の設計条件の提案などを行うAIシステム(AI予測システム)を活用している。
AI予測システムにおける主な機械学習プロセスには、機械学習モデルを開発するコンピュータへの最新データの入力、データの加工、コンピュータに組み込まれたプログラムによる機械学習モデルの継続的な再学習などがある。この内、最新データの入力とデータの加工については、機械学習モデルを構築するデータサイエンティストが自ら行う必要があり、その作業時間は全プロセスの8割程度を占めていた。また、AI予測システムに搭載されている機械学習モデルについても、それぞれに特化して構築しているため、各々に応じた作業が必要で、多くの手間と時間を要していた。
同社はこれらの課題を解決し、より効率的に運用できるようにするため、最新データの入力とデータの加工を自動化するプログラムをシステムへ組み込んだ。さらに、機械学習モデルを構築するデータサイエンティストとシステムを構築するソフトウェアエンジニアが使用する基本ソフトウェアやプログラミング言語などに差異があっても、両者が共同開発できるように共通の開発環境を実現する技術の導入を行った。MLOpsを他社に先行して構築したことにより、一連の流れに要する時間短縮と予測精度の向上、AI予測システムの安定的な運用が可能となった。