旭化成は4月20日、自動車や電子部品等の部品材料として使用される機能樹脂製品(商品名「レオナ」「テナック」「テナック―C」「ザイロン」および「サーミレン」)を対象に、NTTデータと共同で製品グレードごとの温室効果ガス(GHG)排出量を把握し、カーボンフットプリント(CFP)を算出する基盤を構築したと発表した。同基盤は今月より運用を開始しており、今年5月から顧客へのCFPデータの提供を開始する。
同社の「レオナ」「テナック」「テナック―C」「ザイロン」および「サーミレン」は機能樹脂製品であり、高強度、摺動性、難燃性などの特長を活かして、自動車機構部品や電気・電子部品などの材料として幅広く使用されている。同社の機能樹脂製品事業では、グローバルでそれぞれ10以上の製造拠点・営業拠点を構え、全世界の顧客に製品供給や技術サポートなどを行っているが、さまざまな拠点をまたぐ複雑なサプライチェーンが形成されているため、製造から販売に至るまで一貫した形で、最終製品別に経営情報(予算・実績・見通しなど)やCFPを迅速に確認することは困難だった。
近年、地球環境への意識やサステナビリティの重要性が高まる中、自社内の管理に加え、業界全体を意識した取り組みが期待されている。同社の機能材料事業においても、自社の活動や調達を通じた脱炭素の推進に加え、サプライチェーン下流の顧客に対し製品ごとのCFP情報を提供し、サプライチェーンでの脱炭素化を進めることが求められている。これらの期待・要望に応えるため、同社は同基盤の構築を行った。
同社の機能材料事業では、NTTデータと共同で経営情報をグローバルで一貫把握する基盤を2020年度に構築しており、今回、同基盤を拡張してCFPの把握を実現した。特長としては、「調達原料から輸送、外注加工、自社製造・出荷までのGHG排出を網羅」「複雑なサプライチェーンに対応し、最終製品別に月次でCFP算出が可能」「経営情報と組み合わせて、価格とCFPの二軸での分析を実現」の3点が挙げられる。