王子ホールディングスはこのほど、グループ会社の王子パッケージングと共同で植物由来原料のポリ乳酸を使用した、ポリ乳酸ラミネート紙の開発に成功したと発表した。
紙コップや牛乳パックなどとして使われるラミネート紙は、紙基材にプラスチックを溶融押出して積層した複合材。プラスチック層があることで、加熱接着するヒートシール性や、水や油を通さない耐水耐油性を有している。一方、一般的にラミネート紙は可燃ごみとして扱われる。また牛乳パックなどリサイクルシステムが構築されたものでも、紙原料から取り除かれたプラスチック部分は燃料などとして利用される。従来、このプラスチックは石油由来であるため、燃やされることで温室効果ガスであるCO2が排出されている。
同社では、これまでのラミネート紙製造で培ったノウハウをベースに検討を進め、石油由来プラスチックを使用せずに、植物由来のポリ乳酸を使用したラミネート紙の開発に成功した。ポリ乳酸は、植物由来であるため燃焼しても大気中のCO2を増やさず(カーボンニュートラル)、コンポスト条件下で生分解する環境負荷の低いプラスチックである。開発したポリ乳酸ラミネート紙は、ポリ乳酸を使用することで石油由来プラスチック削減に貢献でき、かつ従来品同等のヒートシール性や耐水耐油性を有するラミネート紙になる。
同社は、今後も紙製品の製造技術を活かした環境配慮型製品の開発を進め、持続可能な社会の構築に貢献していく。
2022年05月06日