帝人の22年3月期連結決算は、売上高が9260億5400万円で前期比10・7%増、営業利益は442億800万円で同19・5%減、経常利益は496億9200万円で同7・4%減、当期純利益は231億5800万円となった。
セグメントのうち、マテリアル領域は、売上高が3851億円で同29・7%増、営業損失は57億円(前期は10億円の営業利益)となった。アラミド分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」でタイヤ補強材、摩擦材などの自動車関連や光ファイバーを含む用途全般において販売量が減少したが、各市場の回復に伴い販売量が回復した。
樹脂分野については半導体不足、新型コロナウイルスによる顧客における稼働減少の影響を受け、販売量は前期対比若干減少した。また、主原料であるBPAの価格高騰影響を受けて、販売価格改定を進めた。
炭素繊維事業分野は、航空機、風力発電、レクレーションを含む用途全般で炭素繊維「テナックス」の販売量が増加した。また、主原料であるANの需給逼迫による価格高騰を受けて、販売価格の改定を進めた結果、前期対比増収・増益となった。当期において北米新工場の稼働を開始しており、将来に向けた航空機向け中間材料開発を継続している。
複合成形材料事業分野では、半導体や部品の供給不足により主要顧客であるOEMの生産休止が継続したことで、自動車向け複合成形材料事業のグローバル事業ブランドのTeijin Automotive Technologiesが米国において注力するSUV・ピックアップトラック向けの部材生産にもその影響が波及した。また、需給逼迫による原材料価格の高騰が継続し、製造コストに大きく影響した。
ヘルスケア領域は、売上高が1836億円で同23・5%増、営業利益は432億円で同37・0%増だった。
23年3月期通期業績見通しについては、ヘルスケアでの主要医薬品「フェブリク」の後発品参入影響が見込まれる一方、マテリアルでの堅調な需要継続および生産能力増強の投資効果が発現するとみている。これにより、23年3月期連結業績予想は、売上高が1兆円で前期比4・0%増、営業利益は500億円で同13・1%増、経常利益は520億円で同4・6%増、当期純利益は280億円を見込んでいる。
2022年05月13日