横浜ゴムは5月13日、国内外ユーザーの協力を得て、電波を用いて情報を非接触で読み書きする自動認識技術であるRFID(Radio Frequency Identification)を内蔵したマリンホースとコンベヤベルトのフィールド実証テストを開始したことを発表した。同フィールド実証テストでは、マリンホースやコンベヤベルト内部において通常の点検では確認できない微細な状態変化を独自に開発したRFIDにより検知し、遠隔で監視可能なことを実際に稼働している製品で検証する。
マリンホースでは、内部損傷による内圧変化などを検出可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を外部からスキャンして読み取ることで異常を検知する。現段階ではタグの読み取りは人が行っているが、今後はドローンによる自律検知の実現やインターネットを利用した情報共有システムの構築を図る。これにより、マリンホースの異常を早期に発見し、損傷を予知することでオイル漏れを予防するシステムの実現を目指す。
コンベヤベルトでは摩耗、損傷、温度変化などを検知可能なRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を周囲に設置したアンテナによって自動で読み取り異常を検知する。今回のフィールド実証テストでは、RFIDで検知された稼働中のコンベヤベルトの各種数値データを常にインターネットを経由して当社の開発部門へ送る。これらのデータを分析することで、コンベヤベルトの損傷や火災を予知する技術の確立を目指す。
工業資材事業は同社の2021年度から2023年度までの中期経営計画「YX2023」においてMB事業の成長をけん引する柱のひとつであり、コンベヤベルトでは「得意市場での圧倒的プレゼンスの確立」、海洋事業では「高シェア維持」を目標に掲げている。この実現に向けた活動の一環として、工業資材の遠隔監視および損傷予知技術を確立し、ユーザーの安心・安全と経済性を提供する新たな付加価値を創造していくとした。