DICは5月17日、同社のインド子会社であるIdeal Chemi Plast(Ideal社)が、インド市場でのコーティング用樹脂の需要拡大に伴い、同樹脂の生産能力を拡大するため、マハラシュトラ州スパ工業団地において、新工場の建設を開始したと発表した。
同社は、アジアのコーティング用樹脂市場で事業拡大を目指す「インダストリアルアジアドミナント戦略」を掲げている。そのなかでターゲット市場であるインドにおいては、年率9%を超える高成長が見込まれている。
こうした状況下、同社はインドの需要を取り込むべく、2019年4月にIdeal社を買収し、同社のハイエンド製品に対応した樹脂開発力と、Idealの販売チャネル、顧客ベース、インド特有のニーズの把握といったノウハウとサプライチェーンの統合を進めることで、短期間でインド市場でのポジションを高める戦略を進めてきた。そうしたなか、Ideal社のコーティング用樹脂の生産設備は買収以降、好調な需要を背景にフルキャパシティでの生産を継続していたため、早期のキャパシティ拡大が必要と判断し、新工場の建設に向けて2021年3月に土地を購入、今年4月から新工場建設を開始した。
Ideal社の新工場は、2023年7月からの稼働開始を予定している。これによりIdeal社の生産能力が現行の3倍に拡大し、アジアパシフィック地区のポリマ技術センター(タイ)で開発した環境対応製品やグローバル展開製品の生産も、新工場の釜設備により、インドでの生産が可能となる。環境面では、排水は全て工場内で処理し、クリーンな工業用水として再利用するZero Liquid Dischargeシステムを採用、またクリーンな天然ガスの採用や省エネルギー製造設備の導入により、同社は環境・安全に配慮した工場運営とCO2排出削減を目指す。
同社は今後の展開として、インドでの生産能力と生産品目を拡大し、インド国内の顧客への提供価値を向上させるとともに、引き続き見込まれる旺盛な需要を取込むことで、コーティング用樹脂事業の拡大を図るとしている。