昭和電工は5月23日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施者を公募したグリーンイノベーション基金事業 次世代デジタルインフラの構築プロジェクトの研究開発項目の一つである「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」に対し、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」を提案し、採択されたと発表した。
グリーンイノベーション基金事業(GI基金事業)は、日本政府が目標として掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現に必要なエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションを大幅に加速するため、2020年10月に経済産業省によって総額2兆円の規模でNEDOに造成された。GI基金事業は、官民で野心的かつ具体的な目標を共有し、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで継続して支援する。
同社のパワー半導体用SiCエピタキシャルウェハー事業は、国内外の大手のパワー半導体メーカーとの取引実績があり、SiCエピウェハー市場でトップシェアを有する。同事業は、同社がこれまで蓄積したIPポートフォリオや開発ノウハウなどのリソースを最大限活用し、SiCエピウェハーとその原材料であるSiCウェハーを8インチへ大口径化させ、欠陥密度を1桁以上低減することで、次世代パワー半導体の低コスト化を実現する計画としている。同社の挑戦的な提案内容とSiCエピウェハー事業における実績が評価され、今回の採択に至った。同事業の事業期間は、2022年度から2030年度までの9年間となる。
同事業では、同社はSiCバルク単結晶の高速成長技術開発において産業技術総合研究所と協力して取り組む。研究開発成果は複数のデバイスメーカーによる評価を得て、社会実装を目指す。
同社グループは「共創型化学会社」として、グローバル社会の持続可能な発展への貢献を目指し、エネルギー効率化を実現するSiCエピウェハーを次世代事業と位置付けて注力している。今後も、「ベスト・イン・クラス」をモットーに、高性能で高い信頼性の製品を供給することで、SiCパワー半導体の普及に貢献していくとしている。