持続可能なプラ材料訴求 ランクセス、独開催の展示会で  

2022年05月27日

ゴムタイムス社

 ランクセスは、6月1 日から2日にドイツのファイツヘーヒハイムで開催される「電気・電子用途のプラスチック会議」に出展すると発表した。

 同イベントは電気・電子(E&E)業界を対象としており、今年は持続可能性、カーボンフットプリント、エレクトロモビリティをメインテーマとしている。ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットのグローバル電気・電子用途開発者であるサラ・ルアーズ氏は、「ランクセスはこのイベントで、持続可能で省資源な原材料をベースにしたコンポジットや、新しいポリアミドおよびポリエステル・コンパウンド材料を展示する。これらの製品は、製造する部品のカーボンフットプリントの削減や、クライメイト・ニュートラルを目指すお客様のサポートに貢献する」と述べている。同展示会でランクセスは、電気パワートレイン用のプラスチック材料や電気自動車用の充電装置も紹介するとした。

 ランクセスは、幅広い種類の持続可能なプラスチック材料を提供している。これらの製品には、一般的に ISCC(国際サステナビリティ・カーボン認証Plusで認証され、マスバランス法を用いて算出された持続可能な代替原材料が使用されている。例としては、ポリアミド6および66(PA6および PA66)・ポリブチレンテレフタレート(PBT)をベースとしたデュレタンECOおよびポカンECO製品群が挙げられる。これらの製品には産業用ガラス廃棄物から作られた 15%から60%重量の再生ガラス繊維が含まれている。特に注目すべき製品は、「デュレタン(DurethanBLUEBKV60H2・0EF」だとした。これは、グリーンなシクロヘキサンを含む様々な材料から作られた、60%重量の再生ガラス繊維で強化されたポリアミド6コンパウンドで、この製品は、同社が新たに展開する「Scopeblue(スコープブルー)」シリーズの新製品で、循環型(リサイクルまたはバイオベース)原材料を一定以上含む。または従来製品よりもカーボンフットプリントを大幅に削減した製品に付与されるプレミアムブランドの製品。最近では、30%重量のガラス繊維が含まれた「デュレタン(Durethan)BLUEBKV30H2・0」が加わり、今後も継続的に製品群の拡大を予定している。ルアーズ氏は「ランクセスは今後も、優れた難燃性や高い耐トラッキング性などの電気・電子要件を満たす、持続可能な製品を開発していく」と述べている。
 スコープブルーシリーズのもうひとつの製品イノベーションは、亜麻とポリ乳酸をベースにし、軽量かつ連続繊維で強化された熱可塑性複合素材「テペックス(Tepex )」で、この天然資源のみで作られた複合素材の重量比剛性は、同等のガラス繊維強化材料と同程度であり、電気・電子用途では家電用のハウジング部品への応用が可能だとした。

 長年にわたる電気・電子機器、自動車業界との取引により、同社は、バッテリーや電動パワートレイン部品用のプラスチックに関する幅広い専門知識を有しており、これは例えば電気自動車用の高電圧バッテリーを収容するように設計された大型プラスチックハウジングに生かされている。この製品は、カウテックス・テキストロン社(Kautex Textron)との共同開発により量産可能な技術を用いた試作品として開発され、ランクセスは材料開発を、カウテックス社は部品およびプロセス開発を担当している。この幾何学的に複雑な軽量部品は、金属製の補強部材を一切含まず、重量は2桁中盤キロに抑えられている。完成したパーツテストの結果が公開されており、この部品が高い要求を満たしていることを証明しているとした。

 ランクセスブースのもうひとつの見どころは、電気自動車の充電用インレットのモジュール設計のために自社で開発されたコンセプトだとしている。カスタマイズされた素材は、コスト削減につながる高度な機能統合を実現し、わずかな部品で構成されるモジュール全体は、ネジを使わずに素早く組み立てることができるため、コスト削減にも貢献するとした。

 また、テペックス連続繊維強化熱可塑性コンポジットのバッテリー用途の可能性についても紹介を予定している。この素材は、特に難燃性に関して、可能性を含んでいる。ルアーズ氏は次のように述べた。「ランクセスのブースでは映像を上映し、コンポジットが持つ優れた難燃性をバッテリー部品に使用することで、バッテリーの熱暴走が起きた場合にどのような効果があるのかを実演する」。熱暴走は、制御不能な化学反応によってバッテリーが過熱し始めたときに発生し、バッテリーが発火して爆発する危険性がある。

 

充電用インスレットのコンセプト

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