フッ素樹脂にも強固に接着可能 積水化学、粘着テープ開発

2022年06月01日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は5月31日、同社の高機能プラスチックスカンパニーが、バイオミメティクスを活用した独自の接着化合物の設計と合成に成功し、一般的に接着し難いといわれるフッ素樹脂に接着可能な粘着テープを開発したと発表した。同社は、フッ素樹脂に限らず、オレフィンなどの難接着材料にも幅広く接着できるという特性を活かし、さまざまな用途展開を加速していく。

 同社は、ムール貝の分泌物であるポリフェノール成分を分子構造中に組み込んだ独自の化合物がフッ素に粘着可能であることを見出し、この技術を粘着剤に活用しテープ化することで、例えばフッ素処理したフライパンにも接着することを可能にした。

 また、従来はフッ素系樹脂表面の接着性を上げるため、プライマーと呼ばれる下塗り剤を塗布して粘着テープを貼合していたが、各々の相性で接着が不十分になることや、作業工程負荷が大きいなどのデメリットがあった。プライマーレスを可能とした同開発粘着テープを使用することで、製造プロセス(プライマー塗布、乾燥工程など)を削減し、さらに安定した接着性の実現が可能となる。

 接着性の検証では、同社は50μm厚みの同開発粘着テープと同社アクリル系粘着テープを用いて、各種被着体の180度剥離粘着力を測定した。開発粘着テープは各種被着体に対して良好な接着性を示し、PTFE(フッ素樹脂)やポリオレフィン樹脂にも強固に接着することを確認した。特にフッ素樹脂に対しては、一般のアクリル系粘着テープよりも約10倍の粘着力を発現し、接着性を大幅に改善することに成功した。

 同開発粘着テープは、高周波回路用の基板材料や、高機能化が進むスマートフォン内部での被覆部品やフィルターなどの接着をはじめ、フッ素樹脂を用いたパッキンなどが用いられている産業機器やメディカル用途など、フッ素系材料周辺の接着シートや粘着テープでの採用が期待される。

 同社は今後、サンプルの提供を通じて、2023年度の製品上市に向けた市場開拓を進めていく。この粘接着技術を活かして、粘着テープに限らず接着剤やバインダー樹脂の開発など、さまざまな用途への展開を目指し社会課題解決に貢献していくとしている。

 

開発品の概要と特長

開発品の概要と特長

粘着力評価結果

粘着力評価結果

 

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