旭化成エレクトロニクスは5月31日、イスラエルのSilentium(サイレンチウム)と、Silentiumが保有するアクティブロードノイズキャンセル(ARNC)に関するソフトウェア技術について、全世界での通常実施権を取得するライセンス契約を締結したと発表した。
ARNCとは、自動車の車室内において、車体の振動音を発生源とするノイズと逆位相の音を発生させて消音する技術で、契約の条件に基づき、同社は主要製品であるオーディオ&ボイス用途デジタルシグナルプロセッサー(DSP)にSilentiumのARNC向けQBテクノロジーを搭載し、全世界で販売する権利を保有する。ARNC機能が搭載された同社DSP製品のサンプル提供開始は、2022年第4四半期(10~12月)を予定している。
旭化成グループは、今年4月に発表した「中期経営計画2024~Be a Trailblazer~」において、「Mobility」をグループの価値提供分野の一つと位置付け、2030年に向けて「安全・快適・エコなモビリティ」の実現を取り組むべき課題としている。EV化・自動運転の普及によって、車室内の過ごし方は多様になり、今後はよりプライベートな空間として快適性が求められる。「音マネジメント」の観点では、車室内でのコミュニケーションやエンターテインメントをより楽しめるよう、さらなる静粛性の実現が望まれていく。ARNCは特に低周波の環境ノイズ音に対し効果があり、高速走行時などの快適性に貢献する。
同社は、自動車分野において20年以上にわたり培ってきたハンズフリー通話向けボイス・ノイズ処理や、車室内コミュニケーション技術の蓄積に加え、オーディオエフェクトなどの先進のDSPソリューションを開発しており、同社のDSPソリューションは年間2000万個以上出荷されている。低遅延の特徴を持つ同社のハードウェアと、Silentiumのソフトウェア技術の組み合わせにより、同社は今後のモビリティのさらなる快適性にオーディオ&ボイスの分野で貢献していくとしている。