東ソー、GSC賞奨励賞受賞 CO2回収用アミンの開発で

2022年06月10日

ゴムタイムス社

 東ソーは6月9日、新化学技術推進協会グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(JACI GSCN会議)が主催する第21回グリーン・サステイナブルケミストリー賞(GSC賞)において「奨励賞」を受賞したと発表した。今回受賞した同社の技術は、「NOx耐性に優れたCO2回収用アミン」と、それを用いた「CO2分離・回収技術」の開発。

 昨今、世界的な脱炭素の潮流が加速する中、化石燃料の使用時に発生する二酸化炭素(CO2)を削減するシステムへの需要が高まっていくことが予想される。その中で、特にアミン水溶液を用いた化学吸収法によるCO2回収システムは、化石燃料ボイラー排ガス等からのCO2回収に適しており、使用されるCO2回収用アミンにはCO2回収時のエネルギー消費量の低減(省エネ性能)だけでなく、燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)等による劣化が少ないこと(NOx耐性=長寿命)が求められている。しかしながら、現在使用されているCO2回収用アミンはNOxによって分解されるため、NOxに対して耐性が低いという課題があった。

 これらの課題解決に向けて、同社はCO2回収用アミンの開発に取り組み、水への溶解性が高い水酸基を有する二環式3級アミン(RZETA、1,4―ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン―2―メタノール)を用いて、「NOx耐性」と「CO2分離・回収性能」「省エネ性能」に優れるNOx耐性CO2回収用アミンを開発した。このCO2回収用アミンは幅広い燃焼排ガスのCO2回収に適用でき、長期安定使用などが期待できる。今後同社は製品化に向けて、実証試験プラントでCO2回収システムの最適化を行う。

 GSC賞奨励賞は、「GSCの推進においてその貢献が将来期待できる業績」に対して贈られる賞となっている。同社では今回の受賞を励みとし、カーボンニュートラル社会への貢献を目指して研究開発を進めていくとしている。また、同技術により回収したCO2を有効利用するプロセスについても検討を推進していく。

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