GSC賞奨励賞を受賞 東レ、2年連続で

2022年06月17日

ゴムタイムス社

 東レは6月16日、「VOCフリー・CO2削減を実現する軟包装水なしオフセット印刷システムの開発」について、新化学技術推進協会(JACI)より「第21回グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞(GSC賞)奨励賞」を受賞したと発表した。

 今回の受賞は、同社が独自の「東レ水なし平版」と、溶剤を含まず水で洗浄可能な水溶性インキ技術の創出により、軟包装材印刷工程における完全VOCフリー化と、省エネルギー化によるCO2排出量の大幅削減を両立できる「軟包装水なしオフセット印刷システム」を開発し、軟包装分野における持続可能なシステムの構築に大きく貢献できることが評価された。同社の「GSC賞奨励賞」受賞は、第20回(2020年度)に続き、2年連続の受賞となる。

 同社は、東レ水なし平版と、新たに開発した溶剤を使用しない水洗浄可能な水溶性インキ技術を用い、軟包装用の薄膜フィルム原反に対してLED―UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線を照射することで、瞬間的にインキを硬化・固定化できるようにした。これにより、印刷工程での完全VOCフリー化と、省エネルギー化によるCO2排出量の大幅削減(従来比約80%削減)を両立できる唯一の「軟包装水なしオフセット印刷システム」を開発した。

 同システムのポイントとなる水溶性インキは、同社独自の機能性高分子設計技術を用いることで、活性エネルギー線照射前の状態では、水洗浄により除去することが可能だが、照射後は、一切水に溶解せずに、フィルム上で硬化・固定化する。インキとフィルム間で強固に密着することから、ボイル・レトルトなど高機能な食品軟包装分野への展開も期待できる。

 同社の「軟包装水なしオフセット印刷システム」は、食品用の軟包装分野での実用化を目指し、世界各国の印刷会社・コンバーターにて各インキメーカーと連携して基本的な性能実証を完了し、生産適用検証が進んでいる。同社は今後も、市場が拡大していく軟包装印刷業界において、持続可能な軟包装印刷技術の確立を通じて地球環境問題の課題解決を目指していくとしている。

 

表彰状を持つ授賞者

表彰状を持つ授賞者

奨励賞受賞の楯

奨励賞受賞の楯

 

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