三井化学は6月21日、ミラストマーの主要構成材である、ポリオレフィン成分についてリサイクル材を使用した環境対応グレードを開発し、顧客へのサンプル供試を開始したと発表した。
同社グループが保有する素材開発力を活かし、コンパウンド生産で培ってきた品質管理などのノウハウを活用することで、ポリオレフィン成分をリサイクル材に変更しつつも従来品と同等の性能を発現し、かつCO2排出量を削減、環境負荷を下げることができる。
今回同社は、「エコシリーズ」を新たにラインナップに加えることで、現在のミラストマーの主要用途である自動車材や建築材、日用雑貨はもとより、新たな用途開発も加速させ適用範囲の拡大を目指す。
ミラストマーとは、柔らかさを有するプラスチックであり、広い硬度分布をもち、他の軟質樹脂と比較して低密度で軽量であり、耐熱性にすぐれるという特性がある。主要構成材は、ゴム成分とポリオレフィン等のプラスチック成分であり、今回の環境対応グレードは、主要構成材のポリオレフィン部分をリサイクル材に置き換えたものとなる。
同社グループの強みとして、①ミラストマー原料の主たる構成材をグループにて生産し、処方設計が可能であること、②コンパウンド物性を最適化できる技術力、品質管理能力を保有していること、③将来的に、同社DX技術によりリサイクル材そのもののトレーサビリティを図れること、の3点が挙げられる。
「エコシリーズ」の性能を一定以上に保つ為には、良質なリサイクル材を利用することが重要となる。しかしながら、社会全体でのリサイクル材利用を促進するためには、利用可能なリサイクル原料の裾野を広げ、使用量を拡大することも重要になる。同社は、将来的にDXを利用したリサイクル原料のトレーサビリティ確保などを実現することで、リサイクル材の品質を担保しつつも、利用可能なリサイクル材の適用範囲を広げることで、社会全体のリサイクル材の利用促進に貢献していくとしている。