ランクセスは6月21日、電動スポーツカーの充電コントローラ部品に使用される、熱伝導性と電気絶縁性を備えたポリアミド6(PA6)コンパウンド「デュレタンBTC965FM30」を提供していると発表した。
熱伝導性プラスチックは、電気自動車の充電システムの熱管理において大きな可能性を秘めている。ドイツ南部に本拠を置くスポーツカーメーカーの電気自動車の充電コントローラが、その一例として挙げられる。コントローラの部品の一つに、バッテリーを充電する際にコントローラのプラグ接点で発生する熱を放散する冷却エレメントがあり、その冷却エレメントが同社のポリアミド6(PA6)コンパウンド「デュレタンBTC965FM30」により作られている。
同社のテクニカルキーアカウントマネージャであるベルンハルト・ヘルビッヒ博士は、「ランクセスの構造材料は、充電コントローラの過熱を防止するだけでなく、難燃性、耐トラッキング性、および設計に関する厳しい要求事項を満たしている」と述べている。充電コントローラは、充電ステーションから供給される三相・単相の交流を直流に変換し、充電プロセスを制御する。充電プロセスにおいては、バッテリーの過充電を防止するため、充電電圧や電流の制限を行う。このスポーツカーの充電コントローラのプラグ接点には、最大48アンペアの電流が流れ、充電中に大きな熱が発生する。ヘルビッヒ博士は、「ランクセスのポリアミドには、この熱を熱源から効率的に切り離すことができる熱伝導性の特殊な鉱物粒子が使用されている」とコメントしている。この粒子はコンパウンドに、メルトフロー方向(面内方向)で2・5W/m・K、メルトフローに直角な方向(面直方向)で1・3W/m・Kの高い熱伝導率を与えている。
さらに、ハロゲンフリーで難燃性のポリアミド6(PA6)素材を使用しているため、この冷却エレメントは高い難燃性を実現している。アメリカ保険業者安全試験所(UL)のUL94燃焼性試験において、最高ランクであるV―0(0・75mm)の評価を取得している。