昭和電工は6月28日、同社とマイクロ波化学が、マイクロ波を用いて使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するケミカルリサイクル技術の共同開発を開始したと発表した。同社は2050年のカーボンニュートラル達成に向けてさまざまな取り組みを実施しており、同技術の早期社会実装・事業化を目指す。
同社とマイクロ波化学は、容器包装などに用いられた使用済みプラスチックにマイクロ波を照射して分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学原料を製造する技術の開発に取り組む。両社はまず、基本技術の確立に向け、今年末までに、マイクロ波加熱分解物の生成条件検討、目的成分の収率向上に向けた触媒等の探索、さらに分解条件や分解プロセスの最適化などに取り組む予定としている。
同共同開発では、電気加熱技術の一つであるマイクロ波加熱を利用する。マイクロ波加熱は電子レンジでも使用されている方法で、対象物に照射したマイクロ波が誘電体に直接作用し、内部加熱、選択的加熱、急速昇温ができるという特性を有している。マイクロ波は他の加熱方法と比較し対象物のみを加熱するため、同プロセスでは、マイクロ波吸収体(フィラー)を活用してマイクロ波のエネルギーを使用済みプラスチックに集中的に与えることができ、それによって使用済みプラスチックを基礎化学原料へ効率よく分解できる。また、従来の分解法と比較して分解時のエネルギー消費を抑えることが可能となる。このようなマイクロ波加熱の特性を活かし、同共同開発では、従来法では難しかった使用済みプラスチックの直接基礎化学原料化を低エネルギー消費かつ高効率に実現することを目指す。
同社は2003年から、川崎事業所において使用済みプラスチックを熱分解してクリーンな水素やアンモニアを製造するケミカルリサイクル事業を行っており、原料調達から分解、製品化までの事業全般に関するノウハウを所有している。
同社とマイクロ波化学は、同共同開発を通じて、省資源、資源循環、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。