昭和電工は6月29日、同社と韓国のSKが、半導体の製造工程で使われる高純度ガス事業の北米協業検討覚書(MOU)を締結したと発表した。2社共同で、北米での半導体用高純度ガス現地生産の検討を始める。
世界各国の半導体市場が成長するとともに地政学リスクが高まるなか、アメリカ政府は半導体産業の強化と供給網の国内誘致に乗り出している。これを受けて大手半導体メーカーによるアメリカでの投資や設備増強が増え、半導体材料の同国内での需要も拡大している。半導体ウェハーの回路形成(前工程)に使われる高純度ガスも需給がひっ迫し、半導体メーカーからの安定供給の要望が強まっている。一方、同社の半導体用高純度ガス事業は、アジアの生産拠点で生産・充填し、アメリカへ輸送するサプライチェーンを構築しているため、輸送コストアップや、物流ひっ迫時の供給不安といったビジネス上の課題があった。
これらの課題に対応するため、同社と韓国SKの高純度ガス事業の社内独立企業であるSKマテリアルズは、共同で北米での半導体用高純度ガス現地生産の検討を開始した。半導体用高純度ガスの市場で、エッチングガスにおいてトップシェアを持つ同社と、クリーニングガスおよび成膜ガスでトップシェアを持つSKマテリアルズが共創し、アメリカビジネスの拡大を狙う。
同社とSKマテリアルズは、2017年に半導体用高純度ガスの製造・販売を行う合弁会社「SK昭和電工」を設立し、韓国で窒化膜のエッチングガスであるCH3Fの生産を行っている。現在、SK昭和電工はHBrの製造プラントを韓国に建設しており、7月に竣工予定となっている。
同社グループは「共創型化学会社」として、グローバル社会の持続可能な発展への貢献を目指し、半導体用高純度ガス事業が含まれるエレクトロニクス事業をコア成長事業と位置付けて注力している。今後も、半導体市場の成長に迅速に対応し、最先端の製品を供給し続けることで、エレクトロニクス事業の成長を実現していくとしている。