帝人は6月30日、同社、チムニー、JEMSの3社が、トレーサビリティに対応した漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーを共同で開発したと発表した。この配膳用トレーは、2022年7月4日よりチムニーが運営する「豊洲市場さかな酒場魚星 中野北口店」の定食メニュー提供時のトレーとして採用予定となっている。
国内で年間約1300tもの廃棄がなされているとされるポリエステル製の漁網は、環境への悪影響が問題視されている。こうした中、3社の取り組みや方向性が合致し、トレーサビリティに対応した漁網由来の再生ポリエステル樹脂製の配膳用トレーを共同開発した。
今回開発した配膳用トレーは、同社が製網メーカーなどと、漁業協同組合から不要となったポリエステル製の巻き網を回収して再生樹脂にマテリアルリサイクルし、その樹脂を配膳用トレーの材料に使用している。トレーを構成する樹脂の10%以上に再生樹脂を使用していることから、エコマーク認定の「海洋プラスチックごみ、漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品」を取得している。漁業系プラスチック廃棄物を再生利用した製品としては初めてのこととなる。
同トレーの色は艶消し黒色で、あらゆる料理の彩りが美しく映えるスタイリッシュかつシンプルなデザインとなっている。また、トレー表面にノンスリップ加工が施されており、トレーに乗せるお皿が滑りにくくなるような仕様となっている。
同トレーは、JEMSのブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティシステムにより、トレーに貼り付ける2次元コードをスマートフォンで読み取ることでトレーの原材料となる漁網が使用されていた漁港を確認することや、トレーを生産した際に発生したCO2などの情報を確認することができる。
今後同社は、2030年までに年間1000tのポリエステル製漁網をリサイクルすることを目標に掲げ、海洋汚染の軽減につなげていく。さらに、同社、チムニー、JEMSの3社は、SDGsの目標達成に向けて、引き続き、漁網由来の再生ポリエステル樹脂を活用した製品の開発を進めていくとしている。