UBEは7月6日、米国でのジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の事業化検討を行ってきたが、建設予定地としてルイジアナ州を候補とし、基本設計(FEED)に着手すると発表した。生産能力はDMC年産10万t、及びDMCから誘導されるEMC年産4万tの計画で、2023年度上期に最終投資決定、2025年度下期に稼働開始の予定となっている。
DMC・EMCはリチウムイオン電池の電解液溶剤の主要成分であり、DMCは半導体製造プロセスの現像液などの用途でも使用されている。電気自動車の普及やデジタル化の進展に伴い今後も需要拡大が見込まれているが、米国にはDMC・EMCの生産設備はなく、同社宇部ケミカル工場又は中国メーカーからの輸入に依存している。同社は米国にDMC・EMCプラントを建設することで、顧客への安定供給を実現するとともに、将来はC1ケミカルチェーンとしてポリカーボネートジオール(PCD)や水系ポリウレタンディスパージョン(PUD)など環境貢献型製品への川下展開を行い、事業規模拡大を計画している。
DMCは同社独自開発の気相ナイトライト法で一酸化炭素(CO)から製造され、エチレンを原料とする他社製法に比べて高品質で副生物が少ないといった特徴がある。同社は、米国工場では天然ガスを出発原料として、CO2排出量を抑制するとともにコスト競争力のある製品を供給し、リーディングカンパニーとして確固たる地位を築いていく。
同社は、2022~2024年度の中期経営計画および2030年長期ビジョンにおいて、米国・中国・欧州でC1ケミカルチェーン生産拠点設置による地産地消の推進を掲げており、計画を実行するため2022年7月1日付けで社長直轄組織として「C1ケミカルプロジェクト」を設置した。米国でのDMC・EMC新設、中国での合弁・ライセンス事業、欧州でのグリーンCOからのDMC製造を検討・推進するとしている。