三洋化成工業は7月13日、自動車の電装化、環境対応車の拡大等によるコンデンサ需要の急激な増加に対応するため、アルミ電解コンデンサ用電解液「サンエレック」の生産能力を増強することを決定したと発表した。
同社名古屋工場における設備改造、工程改善等を含め、3割程度の能力増強を行う。投資金額は約4億円で、2023年5月の稼働を予定している。
「サンエレック」は、電解質に独自開発したアミジン化合物を用いる高性能、高信頼性と長寿命化を実現したアルミ電解コンデンサ用電解液で、1986年に開発された。広い温度領域で高い電気伝導率を示すとともに、高温での長期間安定性に優れ、業界標準のロングラン製品となっており、自動車の制御ユニットなど、より信頼性が求められるコンデンサに採用されている。
現在、自動車業界では、運転支援システム回路など車載用電装部品が増えるとともに、環境対応への流れから環境対応車(EV)へのシフトが加速している。また、一般的な電子機器はもちろん、5G通信の普及による情報通信機器、製造現場における産業機器のロボット化などもあり、コンデンサ需要はあらゆる分野で年々増加している。さらには、太陽光や風力発電などのエネルギー供給の多様化に伴い、送電側の装置においても、より高電圧な電気に対応できるコンデンサが求められている。
同社は、今回の生産能力増強により、「サンエレック」の今後の需要増に対応した安定供給を確保し、世界的な需要拡大に対応するとともに、引き続き成長が見込まれる同市場に対応すべく、さらなる能力増強についても引き続き検討を行っていく。
SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献する「サンエレック」は、見えない部分で私たちの生活に密着しており、持続可能な社会の実現を支えている。アルミ電解コンデンサは、一般的な電子機器から社会インフラを支える重要な電子部品まで幅広く使われており、同社は、そのコンデンサを支える「サンエレック」のさらなる品質向上に努め、今後も将来に向けた技術開発を続けていくとしている。