BASFは7月14日、ウルトラミッドA3U44G6 DC OR(PA66―GF30FR)を投入し、e―モビリティ市場向けの難燃性エンジニアリングプラスチックのポートフォリオを拡充したと発表した。
業界からの高い技術的要件により、PA66をベースとした革新的なソリューションが求められている。すでに実績のあるウルトラデュアーPBT(ポリブチレン・テレフタレート)製品の場合、特に業界で需要の高いオレンジ色(RAL2003)をほぼ安定させることができるが、従来のポリアミドの場合は、熱老化による色ムラや黄変が強く出る傾向があった。
同社製品開発部門のティナ・ウェラー氏は、「高電圧部品は通常、大幅な温度変動にさらされる。それを繰り返すと、従来のポリアミドの場合、激しく変色してしまう。私たちが新しく開発したウルトラミッドA3U44G6 DC ORは、色安定性と機械的強度のイノベーションギャップを縮めるものとなっている」と述べている。
この新たなグレードは、初めて色安定性と耐熱老化性の基準をすべて満たし、長期間のカラーコーディングが可能なため、高電圧の影響を受けやすい部分の安全性を確保できる。最高130°Cの試験では、1000時間後の色安定性を確認することができた。
色の安定性に加え、CTI値600のウルトラミッドA3U44G6 DC ORは、高い電気絶縁性も特徴となる。また、ハロゲン系難燃剤ではなく独自の顔料を使用することで、特に高温多湿の環境下において困難だった電食を防げるようになる。
同社製品開発部門のマイケル・ロス氏は、「開発にあたっては、ヨウ化物や臭化物などのハロゲン化物の排除に取り組み、接触腐食のない耐久性の高い製品を目指した」と述べている。
PA66はハロゲン化物含有量が非常に少なく(50ppm未満)、0・4mmで耐火等級UL94 V0を満たしている。さらに、技術的な市場の要件に対応するため、同製品には特殊な有機系熱安定化剤パッケージが配合されている。