東レは7月19日、中国の河北省保定市銀定荘下水処理場高度処理プラントに同社のUF膜モジュールが採用され、7月に稼働開始したと発表した。銀定荘下水処理場高度処理プラントは31・5万㎥/日の処理水量を誇り、UF膜法として中国最大級の下水高度処理プラントとなる。
UF膜モジュールの供給ならびに技術サービスの提供は、中国にて同社水処理膜製品の販売と技術サービスを担う「藍星東麗膜科技(北京)」(TBMC)が担当する。同社は、TBMCを通じて現地ニーズに合った製品供給と技術支援を行うことで、中国国内における水環境改善、水不足問題の解決へ貢献していく。
河北省保定市銀定荘下水処理場高度処理プラントは、工業化が目覚ましい雄安新区にある淡水湖、白洋淀(はくようてん)の水質を保護するための重要な公共プロジェクトの一環として建設された。中国では、年々厳しくなる環境規制に伴い、排水処理基準が段階的に引き上げられている。これまで下水処理に一般的に使用されていた活性汚泥処理法では、政府の要求する水質基準をクリアできないことから、UF膜を組み入れた高度な水処理プロセスの導入が求められていた。
同社のUF膜モジュールは、化学的・物理的に高い安定性を有するPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製であり、高透水性と耐ファウリング(汚れ)性が両立されるよう独自の製膜方法による複合膜構造を採用している。また、ろ過水の水質向上を図るべく、膜孔径は0・01μmと他社製品と比較して小さく設計されている。今回、東レUF膜モジュールの高い信頼性と、薬品洗浄頻度の低減に伴う運転コストの低減、そして基準値を凌駕する高い処理水質が評価され、採用につながった。
同社はTBMCの他、水処理膜製品の製造会社である「東麗膜科技(佛山)」、水処理技術の開発や技術サポートを行う「東麗先端材料研究開発(中国)」を有している。今後も、同社グループで連携しながら、中国現地顧客に合った製品やサービスを提供することで、中国の水問題解決を推進していくとしている。