DICは7月29日、バイオベンチャー企業のデビュー・バイオテクノロジー社(Debut社)との赤色天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発の第二フェーズを開始したことを発表した。同共同研究開発は、化粧品や食品、ニュートリション用途に使用される天然由来色素の事業拡大を目的としたもので、今後2年間で特に明るく鮮やかな赤色を作り出すことに焦点を当てている。
Debut社は、生体内で用いられる酵素を細胞から取り出し、最適な条件で反応させることで様々な物質を効率的且つ連続的に製造するバイオ合成プラットフォームを有している。同プラットフォームは生物と同じ酵素を用いるが、細胞を用いない(セルフリー)ため、全ての反応を最適化でき、安定した純度の高い目標物の合成が可能となる。2021年7月より、同社とDebut社で開始した天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発の第一フェーズでは、公知の方法より1000倍高い生産効率を達成し、同プラットフォームの有効性を実証できた。
今回開始した第二フェーズでは、第一フェーズで得られた知見を活用し、天然由来色素、特に鮮やかな赤色天然由来色素のサステナブルかつ高効率な製造プロセスを開発し、スケールアップを目指す。同共同研究開発では、植物原料を出発物質とし、高純度、無臭といった特徴を持ち、天然由来品が課題とする品質面・供給面での不安定性を解消した天然由来色素を、化粧品、食品、ニュートリション業界に早期に展開するため研究開発を加速していく。
同社グループは、顔料や色素といった表示材料を通じて、社会やくらしに「彩り」を提供することをビジョンとして掲げており、この分野でのリーディングカンパニーとして常に、よりサステナブルで安全、安心な製品の開発を行っている。今回のDebut社との共同研究開発により、地球環境にやさしく、より安全な製品を社会に提供することで、ブランドスローガン「Color & Comfort」につながる世界の実現を目指すとしている。