初心者のためのゴムの有限要素法解析

2022年08月04日

ゴムタイムス社

 ゴム材料は非線形解析の中でも難しい分野と言われている。本書は、粘弾性や耐久性などの性質を持つゴム材料をFEM解析などを通じて、ゴムの解析をわかりやすく学べる入門書。本書では、多くの事例を取り上げFEM解析の基礎を学べるほか、粘弾性解析から熱解析、耐久性予測などまで丁寧に解説。初心者に向けたゴムの有限要素法解析の入門書となっている。

  • 判型:A5判226頁
  • 価格:本体4800円+税
  • 送料:350円+税
  • 発売日:2022年8月
  • 著者:萩本光広
  • 発売元:ゴムタイムス社
  • ISBN:978-4-908565-34-2

本書の主な内容

本書を読む前に
解析事例

1章 ゴムの解析基礎―超弾性解析からゴムの解析注意点―
1.1節 ゴムの超弾性解析の概要
1.2節 ゴム材料について
 1.2.1項 ゴムとは、ゴムを良く知ること
 1.2.2項 ゴムの特性の基礎/ゴムゆえの注意点
 1.2.3項 ゴムの熱時、低温時の特性/温度依存性について 
コーヒーブレイク①硬度とせん断弾性率の関係
1.3節 ゴムのひずみエネルギー密度関数の定義
 1.3.1項 二軸試験機から得られる伸長比と応力の算出
 1.3.2項 二軸試験機での変形状態
 1.3.3項 二軸試験の意義:なぜ二軸試験が必要か
 1.3.4項 製品は圧縮領域なのになぜ伸張試験で表現するか
コーヒーブレイク②ポアソン比について
 1.3.5項 どの領域のデータを使うか
コーヒーブレイク③エネルギー関数、二軸試験と私の関わり合い
 1.3.6項 実際の回帰例/一軸拘束二軸試験の実際と回帰まで
コーヒーブレイク④二軸試験機のあれこれ
 1.3.7項 エネルギー関数と特性線図の関係
 (1)Mooney式と応力
 (2)Ogden式と応力 
 1.3.8項 回帰係数とヤング率の関係
 1.3.9項 そのほかのエネルギー表現の工夫
 1.3.10項 各定義式の優位性
 1.3.11項 二軸試験ができないとき
コーヒーブレイク⑤ゴムの変形について発生する勘違い
1.4節 ゴムの物理的材料の簡単な定義
 1.4.1項 ネオフック式での精度/有効で且つ最も簡単な定義法
 1.4.2項 基本的な共通課題:ゼロ点はどこですか
 1.4.3項 ヤング率E=応力σ÷ひずみの式は正しいか
 1.4.4項 ダンベルと短冊の違い
 1.4.5項 短冊以外での測定:ディスクの圧縮測定について
 1.4.6項 真のヤング率を求めるには
 1.4.7項 ヤング率に関するまとめ
1.5節 超弾性体の解析―基本的解析の考え方と注意点、熱履歴―
 1.5.1項 ゴムの解析基本フロー
 1.5.2項 加工工程である熱収縮を考慮する理由
 1.5.3項 解析条件、金属要素部の定義
 (1)ゴムの解析における金属要素の扱い
 (2)各パーツの剛性
コーヒーブレイク⑥体積弾性率について 
 1.5.4項 材料定義における注意点
 (1)ヤング率≠応力/ひずみ
 (2)硬度
 (3)何回目の特性なのかを確認する
 (4)熱収縮の係数
(5)その他
1.6節 1章のまとめ:エネルギー関数の定義
トピック フォーム材の解析への対応

2章 粘弾性解析
2.1節 粘弾性解析の概要
コーヒーブレイク⑦粘弾性を研究する先生との思い出
 2.1.1項 粘弾性解析の基本―気をつけるべき点
 2.1.2項 粘弾性データの定義―実際に定義するには
 (1)基本定義方法概要/既存超弾性係数+粘弾性係数だけでいいのか
 (2)正式な方法での定義―粘弾性スペクトロメータから
 2.1.3項 粘弾性定義の妥当性の確認
 (1)短冊の伸張試験での検証
コーヒーブレイク⑧Proney級数の定義方法
 (2)比例関係について
 2.1.4項 別視点からの粘弾性解析の定義まとめ―実例を踏まえて再確認
 (1)超弾性域―非線形特性の定義
 (2)粘弾性域―級数の定義
 2.1.5項 実際の解析を実行するにあたっての注意点―質量密度―
コーヒーブレイク⑨ミニチュア検証
2.2節 粘弾性領域の固有値について
 2.2.1項 固有値解析の基本~ゴムの固有値への展開~
 (1)ゴムの固有値解析1
コーヒーブレイク⑩振動解析からのヒント
 (2)ゴムの固有値解析の実際―初期応力考慮―
 (3)ゴムの固有値解析2:直接ゴムの固有値を求める場合の手法
 (4)ゴムのテトラ要素での固有値解析とその周辺の考察
コーヒーブレイク⑪修学旅行とノートまとめ癖
 (5)固有値と製品設計の関係:防振製品の豆知識
 (6)粘弾性を考慮した固有値解析に関する考察
2.3節 粘弾性解析の実際
 2.3.1項 時刻歴解析―過渡応答解析
 2.3.2項 粘弾性の課題と事実
 2.3.3項 マス要素と重力加速度
 2.3.4項 応力緩和解析の簡易方法
 2.3.5項 静摩擦から動摩擦への展開
 2.3.6項 粘弾性特性予測の不思議
 2.3.7項 粘弾性解析への応用―長期へたりの展開
コーヒーブレイク⑫ポアソン比再び
2.4節 粘弾性解析のまとめ

3章 熱解析―熱膨張・熱伝導・熱伝達解析―
3.1節 熱解析の概要  135
3.2節 特性予測から―必要に迫られての熱収縮解析―
3.3節 金型・製品形状の予測/熱収縮・熱膨張解析
 (1)防振ゴム製品の例
 (2)シール製品:金具接着タイプリップシール形状の例
 (3)型設計の工夫
3.4節 ゴムの加硫状況の予測
 (1)大型製品の加硫時間の短縮:昇温時間の予測
 (2)その他の加硫状況の確認
 (3)ポストボンド(後接着)について
3.5節 熱的データの構築方法
コーヒーブレイク⑬閉空間でのゴムの硬さ
3.6節 解析方法―手順
 (1)熱―応力連成解析の手順と設定項目
 (2)熱応力解析/熱膨張、熱収縮解析
 (3)熱伝導解析
3.7節 誤差について
 (1)熱―応力連成解析
 (2)熱応力解析、熱伝導解析

4章 耐久性予測
4.1節 耐久性予測の必要性と概要
4.2節 耐久性に関する文献の模倣
4.3節 製品適用―製品の耐久性について
4.4節 ゴムの耐久性は応力で判断してはいけない理由
4.5節 熱老化、時間変数の換算
コーヒーブレイク⑭初心者のころの失敗:主応力
4.6節 摩擦と摩耗について:ブーツの耐久性と摩耗
コーヒーブレイク⑮思いつき夢の中・座屈に対する解決ポイント

5章 解析のヒントと解析予測精度を向上させるポイント
5.1節 解析フローから
 5.1.1項 大変形解析用メッシュの基本
 (1)大変形、細部の変形形状を考慮したメッシング
 (2)必要な細部を表現できるように切断する
 (3)接触解析での疑似フィレットとゼロ隙間の落とし穴
 (4)メッシングの実際、参考として
 (5)要素選択
コーヒーブレイク⑯メッシュの切り方の基本:フランスでの研修
 5.1.2項 拘束条件
 5.1.3項 解析ステップ:非線形ゆえのステップの難しさ
 5.1.4項 解析結果の見方と注意点
 (1)ひずみ出力について
 (2)金属との境界でのゴムのひずみの見方
 (3)応力と面圧の違い
コーヒーブレイク⑰圧力と掃除機の不思議な関係
5.2節 ゴムの特徴
 5.2.1項 残留ひずみ―おさらい
 5.2.2項 寸法公差・剛性公差
 5.2.3項 金具の寸法精度と絞り加工
 5.2.4項 要素分割の基本と精度の関係
 5.2.5項 シールリップ部の詳細な先端の変形を確認する解析
コーヒーブレイク⑱固有値解析、熱的解析に必要な質量密度について
 5.2.6項 モデル簡略化
 i) クランクシャフトのshell/Beam
 ii) shell要素での布表現
 5.2.7項 条件と結果の見方
 5.2.8項 発熱/粘弾性・摩擦・摩耗
 5.2.9項 ゴムの解析のまとめ

 

著者略歴
萩本 光広(はぎもと みつひろ)
個人事業:寺子屋 代表。
2008年からCAE解援隊HP開設、ゴムの基本から解析、CAD及びCAE自動化について情報発信、2018年より寺子屋へHPを移し、よりきめ細やかなサービスを展開できるよう活動している。
1988年明治大学 大学院修士課程(工業化学専攻)終了、同年4月株式会社フコク入社、防振設計3年経験後、FEM解析の導入から実用化・運用までを専任担当し、2005年山下ゴムへ転職、CAEグループのリーダーとして解析の実用化を指導。2016年に寺子屋HP展開、独立。

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