DICは8月4日、同社とグリーンサイエンス・マテリアル(GSM社)は、世界で初めて藍藻類スイゼンジノリの屋内での大量培養技術の確立に成功したと発表した。今後量産化の検討を進め、2023年までに人工培養したスイゼンジノリから抽出した多糖類「サクラン」の上市を目指す。
DICとGSM社は2021年3月より資本業務提携を開始し、スイゼンジノリの屋内での大量培養技術の確立に向け取り組んできた。GSM社で継続してきた研究成果とDICがスピルリナの生産で培った大量生産技術を掛け合わせることで、今まで困難とされていた屋内の管理環境下でのスイゼンジノリの培養条件を見いだし、世界で初めて量産化技術の確立に成功した。天候など外部環境の影響がなく、至適条件下で培養することで、スイゼンジノリが効率良くサクランを分泌することも可能になる。これらの成果を元に、スイゼンジノリの大量培養とサクランの安定供給を実現する。
同社は今後、サクランを日本発のオリジナル化粧品原料としてグローバルに展開することを目指し、更なる効率化による低コスト化を実現できるよう邁進していく。将来的には、数十t以上のスケールでスイゼンジノリを培養出来る体制を構築し、繊維、メディカルやサプリメントなど様々な分野への用途拡大も目指す。
これらの取り組みに加えて、両社はスイゼンジノリの培養技術の知見や研究成果を、スイゼンジノリが唯一天然で生育・養殖されている黄金川(福岡県朝倉市)の保全や、GSM社が熊本県益城町で取り組む屋外養殖の事業拡大に生かすような取り組みも積極的に進めていく。
同社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」で掲げた「Quality of Life(QOL)」社会への貢献を実現すべく、ヘルスケア領域におけるバイオビジネスの強化を通じ、藻類から得られる機能性素材を活用することで、ヘルスケア分野やパーソナルケア分野で価値のある製品を提供していくとしている。